愚生は仕事柄ネットワークを周知していた。そのため、東京郊外のM市で、最初に個人で光回線を導入した。それまでは、ISDNだったため料金を数万円/月払っていた。20年位前に家を建て替えた時は、どの物理層が将来のネットワークの基盤になるかわからなかった。そのため、カテゴリー5のLANケーブル、ケーブルテレビの同軸ケーブル、電話線のTELNETをスター結線で壁に埋め込んで配線した。こちらで購入し住宅メーカーに支給した混合器や分配器も含めれば、数十万円くらい費用がかかった。当時は、住宅メーカーも、将来予測ができなく対応していない状況だった。F社のネットワークに携わっていた愚生でも、予想不可能だったから当然だろう。その後、料金や技術の進歩に従って光回線を引き込んだ。そのため、愚生宅にはNTT、KDDI、EURO光と三本も光回線がある。ずいぶん非効率だと思うが、競争社会の厳しさを如実に表している。個人的には、今使っているEURO光が一番早いと思うが、推定ダウンロード速度: 91.68Mbpsだ。速度をギガに近づけるには、LANケーブルやLANスイッチ、パソコンなどの高速化まで必要だ。愚生はゲームなどしないため、100Mbpsもあればパソコンで映画鑑賞も十分に可能だ。先日、息子夫婦が訪ねてきた。彼らはテザリング機能での使用のため、スマホ料金やダウンロード速度が問題だと愚痴っていた。相談に乗るには、集合住宅のネットワーク環境などを知らなかったために、少し時間が欲しいと言った。そういうわけで、マンション住宅のネットワーク環境を調べてみた。集合住宅の光の配線は3種類ある。共用スペースに引き込んだ光回線を各戸で共有するには、マンション内の配線によって「光配線方式」「VDSL方式」「LAN配線方式」の3つの方式がある。しかし、この中でLAN配線方式は導入が少ないのは当然だと思う。LANケーブルを引き込むなら、光ケーブルを直接導入した方が速い。当然、光ケーブルを配線をしたほうが良い。一方、既存のマンションには電話線を使ったVDSL方式が多い。光配線方式と比較すると、大きく異なるのは光ケーブルの使用方法だ。VDSL方式では、光回線が電線から集合住宅内の「MDF室」と呼ばれる主配線盤まで伸び、そこから各住居までアナログな電話回線で枝分かれする。一方、光配線方式では電線から伸びた光回線が各住居まで行き渡る。そのため、すべての通信を光回線で行える。以上の事から、光配線方式の方がVDSL方式よりも通信速度が速い。具体的には、VDSL方式の最大速度が100Mbpsであるのに対して、光配線方式の最高速度が1Gbps(1000Mbps)になる。マンションタイプの場合は、既に建物に集合住宅用の光回線設備がすでに設置されていることが多い。NTTに電話して、住所を言えば調べてくれる。工事が終わっていれば、工事費が不要なため安く上がる。仮に、マンションタイプが導入されていない古い集合住宅の場合は、ファミリータイプと呼ばれる一戸建て用の回線を申し込むことしかできない。その場合、1本の光回線を直接自分が住む部屋まで引き込む工事が必要だ。ただ、多くの場合は、直接部屋のエアコンダクトからの引き込みや、もともと穴の開いている場所から引くことになる。それができない場合は、最終手段として壁に穴を開けて引き込むしかない。これでは、一戸建ての古い住宅に光回線を引き込むのと同様だ。20年前に建てた愚生宅では、こういうことも想定していたので、壁や床に穴を開けることはなかった。しかし、そのつど工事があって三度も立ち会った。実際問題として10階以上の古い高層階のマンションでは光回線を引き込もうにも、工事自体が不可能だ。マンションタイプよりもファミリータイプのほうが、1,000円以上基本料金が高いのは、共用しないからだろうか。モバイルルーターやソフトバンクエアーを利用する方法もあるが、場所によっては使い物にならない場合が多い。一度愚生も使ってみたが、91Mbpsが3Mbpsになり翌日速度がでないからと解約したことがある。どうも無線は、便利ではあるが速度が安定ではない。スマホのテザリングと同様の仕組みだから当然だろう。5Gが普及すれば、立場が逆転するかもしれないが・・。マンションのVDSL方式の場合は、建物に引き込まれた光ファイバーケーブルを数戸の家屋で共有することになる。多くの場合、配電盤室から各戸までの配線には一般電話回線が使用される。マンション向けの光回線は、光回線とはいうもののその末端部まで光ファイバーケーブルで接続しているわけではない。光ファイバーケーブルが導入されるのは、マンションの地下などにある配電盤室までだ。そこから先の各戸への配線は、一般電話回線が使用される。その電話回線を利用に、VDSLという技術が使われる。光回線が普及する前に、ADSLという方式があった。この方式は、安いが電話局から遠い場所は速度が遅かった。これと同種の技術で、VDSLは高速通信が可能だが距離が短い方式だ。電話回線用ケーブルを使用したVDSL方式の場合だと最高速度は100Mbps前後だそうだ。しかし、そこまでのフルスピードは出ないだろう。そのマンションの個数や時間帯に使用する数で決まってくる。オフィスが混在なら、夜は負荷が軽い。10世帯未満なら、同時使用は少ないだろうからベストエフォーで100Mbps近く出るかもしれない。少なくとも光回線で共用部までは最高で1GBPS(1000Mbps)は可能のはずだ。新しいマンションでは光ファイバーケーブルが最初から配線されている場合が多い。この光回線方式の場合、通信速度の上限は、一戸建ての場合と原理的には変わらいから速い。そういう言意味では、安くて速いからお得だ。マンションでの光回線接続は、一般的に一戸建ての場合よりも低速になる例が多い。しかし、接続環境を調べてみると、回線以外に主要な原因があることも少なくない。例えば、一本のインターネット接続回線を、複数の機器で共有する場合、「ルーター」を利用する。時分割しているため、これが遅ければ速度は出ない。本来、100Mbps(0.1Gbps)も速度があれば、映画だろうが問題はないほど十分な速度だ。そう考えれば、新設のマンションでなくとも、小規模で共用部にVDSLが構築されている場合は、使用に耐えうる速度は出そうだ。ただ、数百個もある大規模な集合住宅では、VDSL方式の速度問題は避けては通れないだろう。
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