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2019年6月29日 (土)

リブラの問題は、監督官庁が不明

Download_20190629093201 ここのところ、フェイスブックの株価が上がっていると思ったら、18日に新たな仮想通貨「リブラ(Libra)」を使ったサービスを開始すると発表した。リブラは基本的には、個人や企業による資金決済のために、ブロックチェーンを活用した「暗号通貨」だ。それが大きな反響を呼んだ理由は、フェイスブックの場合は大手IT企業などが設立メンバーとして加わることと、価値を安定させる仕組みが組み込まれ「通貨」として活用される可能性を内包していたためだ。リブラは、フェイスブックとは独立した非営利団体の「リブラ協会」が管理する。リブラが価値を安定させるために採用した仕組みは、「リザーブ(準備資産)」と呼ばれる資産で100%裏付けされる。従来の「暗号通貨」は、売り手と買い手の需給関係によって米ドルや円に対して大きく変動した。いったい、実物対価としての価値が不明確だった。今回のリブラの価値は、リザーブの資産価値と等しいからそうした問題はない。つまり、国家の通貨はその国の信用だった。この点、リザーブは主要国の国債や現金で担保される。これは、「通貨」の価値を資産のポートフォリオによって裏付けする。そのため、長期金利や主要国間の為替相場が変動すれば、リブラの価値もその分だけ変化する。また、リブラの資産は、ユーザーが払い込んだ主要国法定通貨によって決まる。つまり、ユーザーは協会公認の取引所を通じて米ドルなどを払い込むのと交換にリブラを入手する。取引所は受け取った米ドルなどをリザーブに払い込むことで、リブラはリザーブによって100%裏付けられる。リザーブは初期段階には外部投資家の出資も一部受け入れるようだが、リブラを使って金融政策を行う可能性は排除されている。このため、ユーザーはリブラを保有しても大幅な値上がりは期待できない。しかし、価値の安定がIT技術による取引費用の削減や利便性の強化と結びつくことで、本来の意味で「通貨」として活用される可能性が大きく広がっている。リブラ導入によって、より多くの個人や企業が金融サービスにアクセスし、グローバルに迅速かつ低コストで資金を移動できるようになる。これにより、銀行の為替業務や送金、振り込みなどの手数料に頼る商売は壊滅的な状況になるような気がする。本格的に普及すれば、生き残りができる金融機関は少ないだろう。リブラの問題は、監督官庁が不明という点だ。リブラ協会がスイスのジュネーブに置かれるため、リブラが展開される主要国の当局は、スイス当局を介した間接的な監督に依存する。ただ、今の暗号通貨は、価値が不明確な投資資産だが、リベラは某国の国債というか代替え通貨という意味合いが強い。そして、共通な通貨としての位置付けも明確なら、輪転機を廻して印刷される管理不能な米ドル紙幣や国債より安定かもしれない。金地金の代わりとは言えなくても、紙幣より価値があるかもしれない。ところで、リブラもシステムの構築や運営の費用が発生する。リザーブの運用益を確保できるかという課題がある。愚生はフェイスブックが提唱しているから、またこれらの個人情報で運営費を捻出するというのではないだろいうか。それなら、また別の問題を抱えることになる。

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