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2019年6月15日 (土)

7割引きでしか米国はドルを保証しない

Images_1 MMT(Modern Monetary Theory:現代貨幣理論)という考えがアメリカで注目を集めているという。日経ラジオなどでも、解説者がしきりに使う耳新しい貨幣理論らしい。これは、自国通貨建てで政府が借金して財源を調達しても、インフレにならないかぎり、財政赤字は問題ではないという。正に、日本の政府財政そのものだ。これは、ニューヨーク州立大のステファニー・ケルトン教授などによって提唱されている。これまでの経済理論では、財政赤字が拡大すれば、金利が上昇して景気悪化を招くとされていた。そのため、政府の国債発行の拡大は財政赤字になるから、財政均衡上問題とされてきた。一方、MMTでは財政赤字拡大で景気悪化を招くとは限らない。マネーサプライ増加によるインフレ圧力がかかるだけだとみる。また、政府の支払いに対しては、非制限的な支払い能力を有していることから、政府の債務超過による破綻は起こりえない。しかし、これは全ての国家で通用する理論ではない。基軸通貨国又は政府の借金の外国人保有率や外貨通貨建てのモノの割合が低く、自国民が国債のほとんどを保有している国の場合でしか通用しない。理論に適合する国は、基軸通貨の米ドルを持っているアメリカ、政府の借金のほとんど自国民が消化している上に、ゼロ金利下かつ物価上昇率が低い日本ぐらいとしている。ただし、反対派は日本がこのまま財政赤字を放置すれば、日本国債の日本人保有率や円建て国債率が低下する。そして、外国人保有率・外貨建て債権率が上昇することで円の対外信用が下落し、円の売却ラッシュでハイパーインフレが起きると主張する。愚生には、どちらの説が正しいのか判らない。しかし、日本はすでにMMTを行なっているという指摘もある。それは、金融緩和政策で大量の日本国債を日銀が市中から買い上げた。そのため、市中には国債が減少し財政赤字に対する危機感は少ない。愚生に言わせれば、日本はともかく、米国は輪転機で米ドルを無尽蔵に印刷する。紙のコストは安いから、好き放題に錬金術を使う。そして、大量に発行した紙幣は償還不能だからと、引き受け元の国に棒引きにしろと迫る。愚生の子供の頃は、1ドル360円だった。しかし、今は108円半ばだ。実に7割引きでしか米国はドルを保証しない。いい加減にしろと言いたくなる。

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