若い女性が愚生の方を見てイケメンだという
長い間生きていると家族構成や環境が変わる。愚生宅も、子供が育って巣立って行った。赤ん坊のころから一緒にいたので、何か寂しい気もする。しかし、いい年をして家に住みついいているのもどうかと思う。地方出身者なら、県外の大学に遊学すれば、就職後も田舎に帰ることは少ない。愚生自身も、高校を出て以来、豪雪地帯の北陸と決別した。IT企業に就職したため、川崎市を背骨のように走る南武線(ハイテクライン)中心の生活になった。しかし、住居だけは田園都市線や小田急線沿線にした。南武線は、東海道線の川崎駅から分岐し川崎市内を縦断する唯一の鉄道だ。路線自体は川崎市を超えて、中央本線の立川駅にまで続く。沿線には、東京競馬場(府中)や競艇場などのギャンブル施設が多数ある。そして、南武線の車両は代々山手線の旧車両が使われるため、JR東日本の中古列車展示場のようだ。南武線は、多摩川の採掘した砂利を運搬する目的で引かれた。そのため、戦前から沿線には朝鮮半島出身者が数多く住み着いている。そして、小さな居酒屋などは、そういう人達が担っている。南武線沿線は、高級住宅街でない川崎市民が住む地域のため治安はかなり悪い。痴漢や大声で怒鳴る乗客を見るのは日常茶飯事だ。ただ、工業都市として川崎市が栄えたため、沿線には大企業が誘致され、工場や開発センターが数多く建ち並ぶ。出勤時間帯は通勤地獄となる。話を戻すと、愚生は東京近辺で住居を構えたため、子供たちは東京都民となった。そのため通学・就職・通勤と全て自宅から通った。大学を卒業しても、彼女と結婚や同居するまで家にいた。そういうわけで、三十代半ばになって子供たちは離れていった。子供がいなくなると、老人夫婦と老猫が一匹となった。この老猫は、一頭飼いのため自分の意識は猫ではない。チャンピオン血統の高貴なロシアンブルーのため、見るからに「イケメン」だ。よく犬猫病院に抱いていくと、若い女性が愚生の方を見てイケメンだという。すぐに自分ではなく抱いている猫のことだと気づくが、悪い気はしない。間違いであっても褒められるとうれしいものだ。子供が離れていなくなると、イケメン猫は自分しか老夫婦に子供がいないことを自覚するようだ。そして、一頭飼いの愚生宅猫は、愛想がよくなり犬化するようだ。やたらと、寝ながら腕を組んだり、伸びをしたりとパーフォマンスを見せる。会話の様子からか、十三年間も住んでいるので、日本語はほとんど理解しているようだ。「ここまで飛び上がれなければ、猫を止めるんだな」と挑発すると、馬鹿を云えという顔で愚生の前に飛んで見せる。親ばかだが、眉目秀麗だけでなくお頭もすこぶる良い。ペットといえ、愚生宅に生まれたときからいるため、息子と何ら変わらない。
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