夕日を拝む市場はいつまでも続くはずはない
コニカミノルタの構造改革が出遅れているという記事があった。今から、20年位前以上だっただろうか。当時は、コニカとミノルタは別会社であった。ミノルタは、自社の製品をシステムに展開したがっていた。F社などのシステム機器が通常より数倍高値で販売されていたことが理由だろう。また、インターネットの接続の先駆け的に、複写機をWSP(ウェブサーバーパブリッシング)などと名付けて、市場にコンセプト製品を出荷してインパクトを与えていたことも一因だった。その装置(WSP100/200)の市場投入は、早すぎたせいで売れなかったが、愚生にとってはサラリーマン時代で最も日の当たる一時期だった気がする。昔を懐かしむ心は、すでに老人であることの証明だろう。コニカミノルタの話題に戻るが、今回また2020年3月期の決算予想の引き下げを公表した。システム展開を図るために、2018年からオフィスで必要なデータを管理、分析できるサーバソフトの売り込みに力を入れてきた。しかし、事務機市場の縮小をにらみ、次の収益源として顧客の業務改革推進を推奨するが、思うように進まないようだ。愚生に言わせれば、失敗すると思う。何故なら、複写機販売の営業は、その現場を切り取って業務改革を提案するだろう。しかし、業務データを管理する部門は、一元的に全社サーバーを統括する。複写機の要件などでは決まらないことが多いからだ。逆に言うと、現場の業務改革には、根幹をなす情報システムの業務改革が必要だ。システム部門とダイレクトに商談できるシステム営業やシステムエンジニアでなければ無理だろう。そうであれば、システムに強い大手メ-カーの独壇場になり、コニカミノルタの居場所はない。システム売り上げが予算通りには寄与しないだろう。2020年3月期の連結営業利益は前期比68%減の200億円になる見通しだという。7月末の予想をさらに400億円下方修正している。今回の新規事業も40億円分の引き下げ要因になるという。赤字予想の幅は昨秋の時点から徐々に広がり時間と共に成長の姿が見えにくくなっているのが現実だ。特に、山名社長は「デジタル時代に呼応したビジネスモデルは作りきれている」というが、独り相撲ではないのだろうか。その証拠に、2021年3月期に損益分岐点の1万件超えを狙っている計画線に対して、上半期の実績は大幅に下回ったとみられる。愚生が先ほど言ったことが、この社長には分かっていないようだ。コニカミノルタは、オフィスのペーパーレス化が進む中で事務機に利益の大半を依存する構造だ。リーマン・ショック前の2008年3月期には営業利益の69%を事務機事業が稼いた。2019年3月期も56%を占める。事務機市場が意外に底堅いことで何となく延命してきたが、夕日を拝む市場はいつまでも続くはずはない。事務機の失速で業績が厳しいキヤノンやセイコーエプソン以上に、深刻な問題だ。
| 固定リンク
「日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事
- 新しい日銀総裁の名前(2023.01.28)
- 自分が持っていないものに憧れる(2023.01.26)
- 「8マン」シール(2023.01.24)
- 組織で仕事をする場合は(2023.01.22)
- 「心動けば相場に曲がる」(2023.01.20)
「基幹システム」カテゴリの記事
- 4~5年前から徐々に明らかに(2022.08.04)
- コピーして庁舎外に持ち出す運用が問題(2022.07.07)
- システムのクラウド化が市場予想を超える(2022.01.25)
- 情報処理データは爆発的な拡大(2022.01.03)
- クラウドサービスは今後も爆発的に伸びる(2021.04.06)
コメント