旧耐震基準の建物は資産価値は怪しい
今朝のニュースで、滋賀県野洲市が築48年の分譲マンションを、行政代執行で解体工事を始めたと報じられた。空家対策特別措置法に基づく分譲マンションの解体は全国初めてだ。野洲市によると、マンションは1972年(昭和47年)建築の3階建てで9部屋ある。住人は十数年前にいなくなり、管理組合はない。これまで、修繕費用も積み立てられていないため、壁や階段が崩れるなど老朽化が進んでいたという。そのため、市は2018年に周囲に迷惑を及ぼす「特定空き家」に指定した。2019年6月までに区分所有者に解体命令を出したが、実施されなかった。集合住宅の解体は区分所有者全員の合意が必要だが、うち4部屋の所有者は書面を送っても反応がなかった。そのため、自主解体は絶望的と判断し、行政代執行に踏み切った。有害アスベストの除去作業など費用は当初見込みの最大6000万円より多い約1億円にもなった。ということは、アスベスト除去がなければ、4000万円くらいと算出していたようだ。区分所有者の男性(76)は「費用は分割してでも支払いたい」と話しているが、他の所有者も含めて解体費の回収は無理だろう。市は財産差し押さえも検討しているが、全額の回収見込みは立っていないという。こう考えると、安易に築年数の経たマンションなど保有するものでと痛感させられる。戸建てであれば、解体費用は100万円~200万円だが、今回のマンションの場合は1000万円以上にもなる。取得価格が数百万円であっても、バックマージンというか解体費用を原価参入すれば、マイナス▲800万円にもなる。これでは、無料で貰っても算盤が合わない。リゾートマンションや築古の管理が行き届かないマンションも同列だ。国土交通省の調査では、築40年超の分譲マンションは2018年末時点で全国に約81万戸あり、全体の約1割を占める。20年後には4.5倍の約367万戸に膨らむと推計されている。マンションは定期的に修繕しなければ老朽化が急速に進むが、修繕積立金が不足しているマンションは34.8%にのぼる。空家対策特別措置法は、地域の安全を守る目的で2015年に施行された。倒壊などの恐れがある空き家を市区町村が「特定空き家」に指定し、所有者に改善を指導、勧告、命令。従わない場合などは行政代執行で撤去できる。国土交通省によると、同法に基づく行政代執行は2018年度までに41件だが、これから急速に増えそうだ。愚生が住んでいた川崎市郊外にあったバス便の団地などは、昭和46年築だったから取り壊されたマンションと築年数は遜色がない。次に住んでいた田園都市沿線の駅近のマンションも、築40年は超えている。愚生の私見だが、東横線や田園都市線沿線の比較的便の良い徒歩圏のマンションは、ほとんどが昭和55年以前に建てられている。また、昭和56年6月1日以降には耐震基準が見直された。耐震基準の更新後を「新耐震基準」、それ以前の基準を「旧耐震基準」という。阪神淡路大震災などでは、住宅や建築物の倒壊、ブロック塀の損壊で多数の死傷者が出た。そのため、人の命や財産を守ることを目的に建築基準法の基準が更新された。旧耐震基準では「震度5強程度の地震で、ほとんど建築物が損傷しない」と規定されている。しかし、建物の倒壊を防ぐだけではなく、建物内の人間の安全を確保することに着眼し、新耐震基準では「震度6以上の地震に耐えられること」になった。日本で新規に建築する建築物は、すべてこの新耐震基準を守らなければならない。正確には、新耐震基準施行以降に認可を受けた建物が対象である。そのため、昭和56年9月~10月以降に完成した建築物から新耐震基準が適用されているといわれるが、その前後に建った建物は個々の調査が必要だ。マンションの場合は、工事期間が1年~1年半程度必要となるため、昭和56年6月に建築確認を受けたとしても早くて昭和57年夏~秋頃に完成した建築物から新耐震基準が適用されている。そう考えれば、昭和58年くらいからは確実に適応されている。不動産購入の際などは、建築確認通知書を確認する必要がある。はっきり言って、愚生ならば、旧耐震基準のマンションなど、いくら管理が良くても自分が住む目的では購入しない。賃貸の投資向けと言っても、解体費用を考慮するなら購入は止めるべきだ。買っても転売ができないからだ。資産価値としては、換金性がないため実需が乏しく評価は著しく低くなるだろう。タワマンなども、いずれ管理費や修繕積立金が増えれば、同じ運命を辿る気もする。古いタワマンなどは、解体費用も馬鹿にならないから資産と呼べるかどうかも怪しくなる。そう考えれば、少子高齢化社会を迎える地震多発地帯の日本では、旧耐震基準のマンションなどは、早期に解体すべきであって資産価値は怪しいと思う。
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