パブリッククラウド市場は既に勝負があった
Microsoftは、AzureクラウドコンピューティングビジネスやOffice 365などのソフトウェアの販売の成功で、過去1年で50%以上も上昇している。モルガンスタンレーによると、Microsoftの株価は、さらに上昇する可能性があるという。そして、マイクロソフト株に対する目標株価を157ドルから189ドルに引き上げた。このレポートが原因なのであろうか、ここ数日マイクロソフトの株は上げ、昨日の大引けで162ドルまで上昇し、時価総額は1.2兆ドルとなった。アナリストは、パブリッククラウドと自社運用サーバーの両方を使用および統合する必要がある企業にとって、マイクロソフトは最高のクラウドプロバイダーであると指摘する。Windowsサーバーで構築されたシステムは多いだろうから当然だ。自社運用(オンプレミス)では、自社内で構築・運用するため、サーバー調達に期間を要すことや初期導入コストが高く、またインフラの管理・維持コストもかかる。しかし、データベースなどのキーとなるサーバーはカスタマイズを自由に行うために自社運用したい。情報セキュリティの観点から費用対効果などを踏まえて、利用形態が自社運用またはクラウド、または両方を共用する。ただ、世界の大手企業は、デジタル機能を構築するためにクラウドを選択することが多くなった。その結果、マイクロソフトも大規模なクラウドコンピューティング取引を獲得している。昨年後半、国防総省はマイクロソフトと、すべてのオプションを行使した場合、10年間で最大100億ドル相当のクラウドコンピューティング契約を結んだ。Azure がAmazonのAWS・Webサービスに商談で勝ったことから、雪崩をうって大企業や政府との大規模取引の可能性がある。他のウォール街のアナリストはマイクロソフトに対して好意的で、約91%が「買い」推奨、または同等の格付けをする。一方、国産クラウドの存在感が薄れゆく現状を象徴するニュースが相次いでいる。NTTコミュニケーションズはパブリッククラウドサービス「クラウド・エヌ」の新規受け付けを2019年12月1日に停止し、提供も20年12月31日で終了すると発表した。ユーザー数の伸び悩みが原因だ。今後は大企業向けのハイブリッドクラウドなどに集中し、パブリッククラウドからは事実上撤退する。そういえば、NTTコミュニケーションズは、大阪府茨木市で府内7カ所目の大型データセンターを12月1日に稼働させると発表したばかりだ。政府共通プラットフォームは「霞が関クラウド」は主にNTTデータが整備・運用を担当する。政府は2018年6月にクラウドを行政システムの第1選択とする「クラウド・バイ・デフォルト原則」を打ち出した。これ以降、初めてとなるクラウドの大型商談を日本のIT大手が獲得できなかったダメージは大きい。AWSや米マイクロソフトなどの大手は世界的な事業展開で規模のメリットを追う。AWSとマイクロソフトに続く米グーグル、米IBM、中国アリババ集団を含めた上位5社は既に世界市場の4分の3を寡占している。国産クラウドが改めて存在価値を示すのは容易でない。AWSとマイクロソフトの2社、もう一社入れたとしても米グーグルまでであろう。規模の違いで、この分野は既に勝負があったような気がする。
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