« 韓国の不貞は日本に限った話ではない | トップページ | 「不動産」が文字通り「負動産」になる »

2020年1月17日 (金)

円安方向になる可能性の方が高い

00012 『弱い日本の強い円』著者の佐々木融氏の円が「安全通貨」ではなくなるときというコラムがあった。どちらかというと、円高を唱えることが多かった佐々木氏が、円安の可能性に言及していた。潮目が変わったのだろうか。2019年中のドル/円相場は、過去3年間は連続して10%以内、105円─115円のレンジをほぼ外れていない。そして、ドル/円相場の為替相場の変動は、近年、レンジが小幅になった。その理由は、円が以前ほど「安全通貨」と呼ばれるような動きをしなくなったことが背景だという。円は「安全通貨」と呼ばれることがある。しかし、佐々木氏は円が「安全通貨」として買われていたわけではなく、元々売られていた円が買い戻されていたのだという。市場参加者は通常、リスクテイク志向が強い時に、低金利通貨である円を売る。そして、高金利通貨を買うことによって金利差を稼ぐ。しかし、投資家のリスク回避志向が強まると、投資家はポジションを閉じる必要に迫られる。その清算で、売っていた円を買い戻すから円高になる。これが、円が「安全通貨」のように買い戻される理由で、「有事のドル買い」と同様だ。しかし、ここ数年は、次の以下の理由で、先行き見通しが明るいときでも円が売られなくなっていると指摘する。1つ目は、海外勢を中心に円が実質的に歴史的割安水準にあるという認識が強い。それならば、現状レベルから円を売り込むことは危険だ。2つ目は、他国も低金利になっていることから、キャリートレードが行われなくなっている。そのため、円売りがないので有事のポジション閉じの円買いも生じない。3つ目は、円よりもユーロの方が低金利になっており、キャリートレードを行う場合はユーロで行う。この結果、売られなくなった円は、買い戻されることもない。円の動きが小さくなっている原因だそうだ。更に、日銀の大規模金融緩和政策などを背景に、日本の企業・投資家による対外投資が活発化している。愚生なども、株式運用は米国株が中心となっているため、売買しても円に戻すことはない。そのため、先行き不透明感が強まった時には、これまでのように円が買われていたが、投資家は逆に好機と捉えて積極的に円を売る。その結果、行き過ぎた円高が起きない。ドル/円相場のレンジが小幅に止まっているもう1つの理由は、円と米ドルの動きに差がなくなっている。長期的な為替相場の水準は、基本的には両国の物価上昇率の差が影響する。過去にドル/円相場が長い間、円高方向のトレンドを続けたのは、米国の物価上昇率が日本の物価上昇率よりも平均的に高かったからだ。しかし、日米間の物価上昇率の差は、2000年から2012年までの平均が2.8%ポイントだったのに対し、アベノミクスが本格化した2013年以降は顕著に縮小し、1.0%ポイントまで縮まった。しかし、今後、世界経済が深刻なリセッションに陥り、投資家が海外資産を売却して国内に資金を還流させる事態となれば、大幅な円高となる可能性はある。それでも、以前とは異なり、国内に資金を戻すことは少なくなる。なぜなら、戻したところで国内には有望な投資先がないからだ。そのことから佐々木氏は、ドル/円相場が予想以上の大幅な動きを見せるとき、それは円高方向ではなく、円安方向になる可能性の方が高いと説く。日本は、日銀の金融緩和政策に頼り過ぎた結果、緩和余地がほとんどなくなっている。次に世界経済が深刻な後退局面を迎えたときには、恐らく財政支出に頼らざるを得なくなるだろう。政府が大盤振る舞いを始めても、投資家は海外への投資資金を日本に戻すかどうかは分からない。無尽蔵に財政支出をすれば、節操なく紙幣が配られる。その結果、円の根本的な価値は低下する。深刻な世界経済の後退というリスクオフ状態になっても円が買われず、逆に円が一段と売られ、価値が大きく棄損する可能性もある。愚生もキャリートレードを解消する円買いが原因で円高になると思っていた。そのため「円が安全通貨」だと思ったことなどない。世界において、円の役割が減ったのなら、基軸通貨であるドルである程度の資産を持つとも一案だと思う。

|

« 韓国の不貞は日本に限った話ではない | トップページ | 「不動産」が文字通り「負動産」になる »

株・為替」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« 韓国の不貞は日本に限った話ではない | トップページ | 「不動産」が文字通り「負動産」になる »