固定金利で住宅ローンを借りる人が急減
日経新聞に固定金利で住宅ローンを借りる人が急減しているという記事があった。愚生のような土地バブルや高金利を経験してきた者には意外に映る。記事では、三菱UFJ、三井住友、みずほの3メガバンクで住宅ローンを新規に借りた人のうち、固定型は足元で3割強という。全国でも固定型の比率は2018年度に30%と2年前から約20ポイント下がった。これは、将来の金利上昇は低いと判断し、固定型より金利の低い変動型を選ぶからだろう。インフレ期待で金を借りた人は、多少金利が高くても固定金利で借りるだろう。そうでなければ、言行が一致しない。一方、変動金利で借りる人は金利の低さと、超低金利の常態化で将来も金利は低いと考えている。三菱UFJの場合、2016年度は約9割が固定型だったが、2019年4~11月の新規契約のうち、額・件数ともに固定型の割合は平均で35%だという。2016年頃は、長期金利が反転して上昇するとの予想だったからだろう。住宅金融支援機構の調査によると、2018年度に固定金利による借入比率(30%)は、統計のある2006年度以降で最低だという。住宅ローンは長期にわたって借りる人がほとんどだ。長期金利が低下する局面では返済額の見通しを立てやすい固定型に人気がある。しかし、現状のようにマイナス金利政策の継続が続くと、金利に対する見方が大きく変る。10年固定のローン金利は1%弱と歴史的な低水準というが、デフレの常態化で家賃や土地、住宅建築費、給料も上がらない。賃貸住宅など、大量のアパート供給で部室が埋まらないから家賃は低下する傾向だ。消費税や社会保険料の値上、可処分所得の減少となれば、マイナス金利下の金利1%が安いか高いか議論する必要がある。そもそも金利が低いという事は、金を借りる人が少ないからだ。その結果、低金利が長く続くと見越して、金利の低い変動型を選ぶ人が増えているのだろう。今後も住宅ローン金利は上がらないという予想は、少子高齢化での住宅価格の高止まりは続かないという見方だろう。将来、住宅価格が暴落するならば、家を持っていれば評価額で目減りする。それなら、賃貸住宅の方が得になる。ソニー銀行や住信SBIネット銀行などのネット銀は、変動型金利は0.4%程度というから、1%程度の固定金利よりも圧倒的に安い。マイナス金利下の現状なら、ネット銀行は0.4%でも儲かるだろう。当分金利が安いなら、安い金利で借りて、余裕で繰り上げ償還するのがベストだろう。地方の中核都市なら、50坪の建売住宅が1500万円程度で販売されている。金利0.4%であれば、返済額は25年で6万2500円/月だ。こう考えれば、アパートの家賃は6万円以上にはならない。低金利下では、商売が成り立ちにくいことを実感する。
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