北方領土交渉の失敗を認めるべき
安倍晋三首相とロシアのプーチン大統領との首脳会談では、これまで北方領土問題で具体的な成果はなかった。安倍首相は、ロシアの思惑を読み違え、北方四島返還の原則を曲げて迎合してきた。ロシアに迎合して日本は「四島返還」の主張を封印するなど譲歩を重ねた。一昨年11月のプーチンとの首脳会談で2島返還をうたった昭和31年の日ソ共同宣言に基づいて平和条約交渉を加速させることで合意した。日ソ共同宣言を基礎というが、実は色丹島と歯舞群島の2島に絞って交渉を進めるという方針転換だった。そして、それ以降、日本側は「わが国固有の領土」や「ロシアの不法占拠」も言わなくなった。さらに、外交青書から四島が日本に帰属するとの趣旨の記述も消えた。振り返れば、四島は1855年2月7日に調印された日露通好条約で日本領土となった。四島は他国に帰属したことは過去一度もない固有の領土だ。ところが、スターリンは終戦直前、日ソ中立条約を一方的に破り、降伏した後で四島に侵攻し不法占拠した。安倍首相は、四島返還を自ら降ろしてしまうのか。首相は対露交渉に関して国民に幻想を抱かせている。平和条約締結後に色丹島と歯舞群島を引き渡す件については、プーチンは2島引き渡し後の主権や引き渡しの条件については何も書かれていないという。要は、主権を渡さないというなら、2島も返さないという意味だ。拙速な安倍首相は、まんまとロシアに騙された。安倍首相は、自らとプーチンの間で平和条約を締結すると繰り返してきた。しかし、ロシアがそうした言質を与えたことはない。安倍晋三首相は、四島返還の原則に立ち戻ると交渉方針を戻し、後任の首相に任せるべきだ。そして、自らの北方領土交渉の失敗を認めるべきだ。
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