歴史的な対局をインターネット放送で視聴
昨日は、一日中AbemaTVで将棋の棋聖戦第2局を観戦していた。渡辺棋聖の先手で戦型は急戦調の矢倉だった。矢倉が囲いは、金矢倉、銀矢倉、総矢倉とある。愚生が小さい時には、居飛車間の対戦ではでは最も多く指されていた。ただし、当時は大山康晴15世名人の全盛で、振り飛車がプロ棋士の間でも最盛期だった。今でも、覚えやすく負けにくい戦法のため、アマチュアや女流棋士の間では盛んに指されている。そういう愚生も古の世代のため、得意戦法は三間飛車戦法だった。何故、三間飛車が好きかといえば、飛車が玉から離れていて暴れやすい戦型のためだ。勝敗はともかく、思い切った手が指せるからだ。2局のハイライトは42手目、藤井七段が守りの要である金を△5四金と上がった手だった。これは旧来の将棋観では、ありえない構想だ。藤井七段は、「△5四金というのは、その局面になればやってみたい手だなと思っていました。」という。魔太郎(渡辺棋聖)「△5四金からちょっと大胆な指し方で来られて・・・。△5四金について再度問われ、前例もあまりない将棋だと思う」と言う。どうも、この△5四金は藤井七段の新手のようだ。ただし△5四金以下の手順だけで、勝負が決まったわけではない。途中は58手目、藤井七段が自陣一段目に△3一銀と打って受けたあたりだ。その△3一銀もまた、ほとんどのプロ棋士が予想できない一手だったという。魔太郎も「▲6六角打って△3二金かなと思ってたんで。いやあちょっと△3一銀は全然読めてなかったですね。」と回想する。その藤井七段の58手目△3一銀は、最強の将棋ソフトに4億手読ませた段階では、5番手にも挙がらない。しかし、6億手読ませると、突如として最善手として現れる手だというから驚く。藤井七段がソフト超えの手を指すことは有名だ。今回のソフト側が発見しにくい△3一銀も、難易度は超高い手なのだろう。いずれにしても、藤井七段は最強将棋ソフトが6億手以上読んでようやく最善と判断する異次元の手を23分で指したことに驚愕させられる。将棋界で歴史上の「棋聖」といえば、幕末の棋聖・天野宗歩(1816-1859)を指す。藤井七段の活躍は、当に若き日の棋聖宗歩と重なることが多いのだろうか。藤井七段はこの5番勝負、2戦2勝だ。あと1勝で初タイトル獲得となる。傍から見る愚生には、藤井七段の棋聖や王位の奪取は時間の問題だろう。そして、波乱がなければ、竜王位も取る気がする。武漢ウイルスの感染影響で、両対局者にとっては超過密スケジュールの6月だった。そしてまた、同様に7月が始まる。愚生のような将棋ファンには、歴史的な対局をインターネット放送のリアルタイムで見続けることが可能になったことは幸いだ。
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