サブリース規制法は、何か胡散臭い
「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律案」が参議院で可決した。成立後、サブリースに関する行為規制は6ヵ月以内施行される。これは、賃貸住宅の管理を業者に委託するオーナーが増加し、賃貸経営を管理業者に一任する「サブリース契約」をめぐるトラブルが社会問題化したためだ。サブリースのアパートは全国で約420万戸あるという。アパートオーナーを約200万人と仮定すれば、オーナーの家族等を含めると影響は数倍になる。サブリース賃料減額を法規制しなければ、数100万人の生活が破綻するのが見えてくる。愚生は、以前NHKBS1で放送された「あなたのアパートは大丈夫?~岐路に立つ投資用不動産ビジネス」という番組を見た。最初に紹介されたのが、茨城県水戸市のアパートオーナー羽石秀則さんの事例だった。10年目に家賃の改定があって、6万3000円だった家賃が、5万円に大幅に減額された。10年で20%以上も家賃が減額されたが、羽石さんは家賃の値下げを全く想定していなかったという。それは、契約時に業者が提案した事業試算書で、家賃はずっと下がることがないと説明されたからだという。事業計画書には、35年後まで変わらない家賃収入が記されていた。しかし、真面な人なら経済状況が35年も変化しないと思うだろうか。そして、新築と築古のアパートの家賃が同じだという事がおかしいと思わないのだろうか。提案する業者も悪いが、それを信じる方はアパート経営をやる資格はないと思った。羽石さんの周辺でもアパートの建設が相次ぎ、家賃相場は下落したのだから、家賃が減額されるのは当然だろう。大幅に減った家賃収入では、ローンの返済保険料などを引くと赤字になる。しかし、田舎にフルローンやオーバーローンを使って、アパート建設すること自体が問題だ。番組の中では、自分の銀行ローンは自分が死ねば全額返済だから、自殺するしかないと嘆いていた。しかし、自殺よりビジネスの失敗であれば、自己破産を選択すべきだろう。愚生の住む、東京郊外では、空き地がアパートでほとんど埋まっている。サブリースのトラブルを扱う弁護士は、最近出ている問題が家賃の減額をめぐるトラブルだと言う。途中で賃料を下げて、減額をオーナーが飲まなければ、サブリース契約を解除するという。契約書に盛り込んであるため、オーナーは大幅な賃料減額の要求を呑むか、サブリース業者を解約するしか選択肢がない。サブリースビジネス業者が儲ける仕組みは、当初の建築費用を割高にし、ここで十分なキャシュフローを作る。そして、赤字で高めに借り上げる。契約の見直しの時に、実勢の家賃に戻す。要するに、アパート建設するための手段としての賃貸業だ。10年の家賃保証期間が過ぎると、補償されていたはずの家賃は減額されることは普通だ。愚生に言わせれば、減額されない方がおかしいと思う。今回の法律は、「サブリース業者(特定転貸事業者)とオーナーとの間の賃貸借契約の適正化に係る措置」と「賃貸住宅管理業に係る登録制度の創設」が骨子だ。前者では、サブリース業者に対して、
(1)家賃支払い、契約変更に関する事項等について、著しく事実に相違する表示、実際よりも著しく優良・有利であると誤認するような広告表示を禁止する
(2)特定賃貸借契約(マスターリース契約)勧誘時に、家賃の減額リスクなど相手方の判断に影響を及ぼす事項について故意に事実を告げず、または不実を告げる行為を禁止する。
(3)マスターリース契約の締結前に、家賃、契約期間等を記載した書面をオーナーに交付して説明する(重要事項説明)等を義務付け、これらに違反したものは業務停止処分や罰則が科せられる。また、サブリース業者だけでなく、建設業者などサブリース業者と組んで勧誘を行なう者についても、規制の対象となる。賃貸住宅管理業を営む事業者の登録を義務付ける。
新法はアパート建設してしまった案件には、遡及できない。しかし、ないよりはましだが、この規定にある「賃貸不動産経営管理士」は省令を経て、国家資格となる見込みだという。この資格が専門家の証となれば、認定機関は省庁の天下り先の温床として利権が絡む。なにか、胡散臭い法律だ。
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