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2020年6月22日 (月)

溢れた金は、債権や株式、金を買い漁る

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債券購入を通じて、特定の年限の利回りを特定の目標に誘導するよう目指すことをイールドカーブ・コントロール(YCC)という。日本銀行が4年前に導入したケースだ。しかし今は、YCCをオーストラリア準備銀行が独自方式で採用する。そして、米連邦準備制度やイングランド銀行も年内に追随し世界的な拡大をみせる。事実、各国・地域の中央銀行が、債権や株、ETF、REITなどの最後の買い手となれば大きな影響がある。何故かといえば、中銀は巨額の流動性供給を担保して行うから、投資家はYCCの金融政策に目標を定めて投資する。要するに、中銀が最後の砦となって買い支えるという市場の認識になれば、ボラティリティーは低下し、リスクを取ってでも利回り追求が可能だ。その結果、大規模な財政・金融刺激策の金余り状態から、無謀な投資に拍車が掛かる。市場に溢れた金は、債権や株式、金、不動産を買い漁って価格を押し上げる。量的金融緩和で、株が上がり懐も暖かくなって、財布の紐が緩むから好景気となる。そういう上手い経済循環なら、いうことはない。しかし、何時もの事だが、最後は株価暴落でハードランディングになることが多い。1989年の日本の土地バブル、ITバブル、リーマンショックと思い返せば、容易に想像がつくだろう。しかし、最近のMMT(現代貨幣理論)という学説では、ある条件下で政府は国債をいくらでも発行して良いという。これは政府債務の拡大(借金を増やすこと)を歓迎する新しい経済理論だ。簡単に言うと、国はいくらでも借金をしてもよいという考え方だ。国債は政府の借金だから、国民に対する借金になる。国は借りた金で、ダムや堤防、道路舗装などの公共事業をする。MMTは、国はたくさん借金をして公共事業を起こし、雇用を生み出すべきという考えだ。そして、MMTに基づいた経済政策を実施すると景気が良くなるという。「景気が良い」というのは、先進国においては緩やかな経済成長が続き、GDPが大きくなることだ。デフレで、国民が消費を控えれば不況が進む。結果的に企業の業績は悪化し、リストラの増加や低報酬の求人増加が起き、国民生活にも悪影響が及ぶ。MMTの目的はデフレを脱却し、適度なインフレを維持することだ。しかし、MMTを適用するには、二つの条件がある。「自国通貨を自国中央銀行で発行できる国」と「ハイパーインフレに陥らない」という要件だ。1つ目の条件は、日本だと日本銀行に当たる。また、日本が債権国家である限りは、ハイパーインフレにはならないだろう。ただし、この先、少子高齢化でいつまでも続くのだろうか。

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