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2020年7月29日 (水)

娑羅双樹の花の色、盛者必衰の理

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28日に発表したキヤノンの業績は、2020年4~6月期の連結最終損益は88億円の赤字(前年同期は345億円の黒字)だった。四半期の赤字は初めてだ。デジタルカメラと事務機器が苦戦し、医療機器などの伸びで補えなかった。『平家物語』に「祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり。娑羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらはす。」とある。古典にある「盛者必衰の理」を覚えている人は多いだろう。盛者を代表する「精密の雄」と言いうべきキヤノンが成長戦略の見直しを迫られている。キヤノンのCFOは、「これまでの戦略の延長線上では時代のニーズに取り残される」と嘆く。2020年12月期通期決算では、売上高で前期比14%減の3兆800億円、純利益で66%減の430億円になる見通しを発表した。キヤノンは、潤沢なキャシュフローを背景に、年間の1株当たり配当が多かったが、2020年1~6月期の配当(中間配当)は40円と前年同期の半分に減らす。年間でも減配となるだろう。高配当株の代表といわれたキヤノンの終わりを告げることになる。今朝の株価は、1,837 前日比 -240 (-11.56%)と年初来の安値だ。やはり、分かっていたことだが、主力の事務機器がペーパーレス化で低迷した。そして、もう一方の柱のデジカメもスマホの台頭やミラーレスでソニーの後塵を拝している。愚生のように、1990年代からキヤノンを知っている者には、信じられない状況だ。 私事だが安心安全、そして高配当のキヤノン株は、過去に何度も売買した。愚生が高校生の頃は、カメラはニコンが全盛だった。カメラが祖業のキヤノンは、1967年に事務機器事業に本格参入した。キヤノンは、事業展開が速くパソコンなど不採算事業から早期に撤退し、資金を活用するキャッシュフロー経営に取り組んできた。そして、鉄壁な財務内容を誇っていた。事務機器は、キヤノンに限らず消耗品で稼ぐモデルだ。そういうアフターで稼ぐビジネスモデルは、毎年安定した収入がある。しかし、半導体の革新でメモリが安くなると、事務所はペーパーレス化が進んだ。また、デジカメはスマホ普及で市場が縮小している中、ミラーレスの一眼フルサイズ規格カメラの参入に遅れた。さらに、粗利益が高い高級デジカメはプロカメラマンしか買わなくなってきた。今回、2020年4~6月期は複合機などのオフィス事業が在宅勤務の影響で営業赤字となり、デジカメなどのイメージングシステム事業も9割強の減益になった。東芝から買収した医療機器事業も事務機器やデジカメを支えるには力不足のようだ。いずれにしても、ご高齢の御手洗さんが何時まで居るのだろうか。

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