中国の虫の良い情報規制が問題
米中貿易紛争の中で、トランプ米大統領は、騰訊控股(テンセント)との取引を禁止すると発表した。これにより、テンセントが運営する対話・決済アプリ「微信(ウィーチャット)」の中国外での利用が阻まれる。通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)よりテンセントとの取引停止の方が中国にとって問題かもしれない。何故ならば、テンセントはファーウェイ以上に世界中に展開しているからだ。テンセントによるIT企業への投資規模は、昨年12月時点で600億ドルを超える。投資先は豪決済サービスのアフターペイから米オンラインフォーラムのレディットに至るまで幅広い。ビデオゲームの分野に関して言うと、テンセントはゲームの米開発企業に多額の出資を行っている。米政府が最初に規制を強化するのは、中国政府による検閲と情報剽窃行為を助けると懸念されている「微信(ウィーチャット)」事業だ。これにより、中国本土の消費者につなぐ米国ブランドからの広告収入が断たれる。そして、米国に滞在する数百万人の中国人学生、観光客、労働者が、友人や家族、取引先との連絡に苦心する。しかし、これは中国にいる外国人駐在員が、グーグルや対話アプリ「ワッツアップ」にアクセスできずに暮らしているのと同じだ。これで、中国との規制状況は同じになる。習近平は、これまでの自分たちの虫の良い規制が問題だったことに今頃になって気が付いただろう。トランプ米大統領がテンセントの通信アプリ「微信(ウィーチャット)」の関わる取引を米国居住者が行うことを禁止する大統領令に署名したことで、テンセントの10日終値は前営業日比4.8%安。2日間の下げ幅は合計で9.6%と、2011年10月以来の大きさを記録した。テンセント株価はそれまでの4カ月間で70%値上がりしていたから、10%くらいの下げでは収まらないだろう。中国は、報道規制についていつも、内政干渉だと反発する。しかし、今回の措置は、独裁国家の怪しいネットワークサービスを民主主義世界から排除したことだ。つまり、価値観が違う国のサービスは、中国国内の閉じた環境にしろということだ。これで、立場は平等になるから中国に痛手はないはずだ。もし、あるとすれば、分離された情報規制のネットワークでは不自由だということだ。
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