相手が名刺に対して敬意を表していた
今日は王位戦第四局だが、藤井聡太棋聖の対局中に着用していたマスクも注目を浴びている。製造する福井県浴衣帯メーカー「小杉織物」には注文が殺到しているという。愚生がF社勤務時代、福井の繊維産業は中国企業などに押されて青息吐息だった。F社は業務用のプリンターリボンを、福井の繊維会社の子会社に発注していた。繊維産業が絶不況だったこともあって、色々無理な要求にも快く応えてくれた。そして、F社の販売力の強さだろうか、いつの間にか親会社の業績を上回って立派なビルまで建てた。しかし、その後も福井の繊維産業は、需要減や中国製品の台頭の逆風下で不景気だった。更に今回は、武漢ウイルスの感染拡大で、浴衣帯の需要も激減した。浴衣帯は、訪日外国人客向けの貸衣装用に需要を伸ばして、売り上げ全体の3割を占めた。しかし、訪日客が途絶え、ほぼゼロとなった。その後も感染が拡大するにつれ、国内向けの受注もどんどん減少した。その最中、最後の手段として絹のマスク製作に乗り出していた。藤井棋聖がタイトルを獲得する前の王位戦第2局、対局に臨んだ藤井棋聖は和服に「夏用涼やか絹マスク」姿だった。それは、光の当たり方で市松模様が浮かび上がる。その後、藤井棋聖は棋聖戦第4局に勝利し、棋聖位を獲得した。それがきっかけで、小杉織物の絹マスクの注文がみるみる増加した。1日7千枚の生産体制はフル稼働だという。小杉織物社長は「職人として品質、技術にこだわった。藤井棋聖に大一番で使おうと選ばれたことがうれしい」と振り返る。当時を思い出すことは少ないが、中小企業の厳しさを痛感した。どうも愚生は、大企業病が染みついているせいだろうか、若い頃から口の効き方が悪かった。入社早々の若輩者でも、お金を払って発注する側は強い立場だったからだ。愚生もサラリーマンを終えて改めて認識したことは、相手が名刺に対して敬意を表していたことだ。愚生は、今王位戦の第四局を観戦していながらブログを書いている。今日は相がかり戦からの力戦模様だ。愚生の感だが、藤井棋聖が明日にも王位を奪取するような気がする。
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