異常な価格は時間をかけて修正される
武漢ウイルスの感染拡大でオフィス市況に変化が表れてきたという。2014年1月から上がり続け、リーマン・ショック前の高値を超えた東京都心のオフィス賃料が6年8カ月ぶりに下落した。空室率は2018年2月以来の3%台に上昇した。従来、賃料が反転する空室率の目安は5%とされてきたが、今回はそれをかなり下回る水準で起きた。8月の都心5区(千代田、中央、港、新宿、渋谷)の平均募集賃料は2万2822円/1坪で前月比0.83%値下がりした。8月の5区の空室率は3.07%で前月から0.3ポイント上がった。今年の3月から6カ月連続で上昇している。スペースの縮小や拠点の整理などのため解約が相次ぎ空室が増えているとのことだ。前回、空室率が下落に転じたのは4.07%からだった。今年8月の3.07%はこの時よりも1ポイント低い水準で始まった。何故だろうか。やはり、経済の停滞で新たに借りる誘因が減ったからだろうか。そのせいか、強気な賃料を示す大家が減った。今回、武漢ウイルスの感染拡大の不況と、テレワークなどの在宅勤務が広がった。そのあおりで、オフィス需要の減退が進むという構造変化が起きている。この先の市況も、はっきりと読めない状況が延々と続く。テレワークやシェアオフィスによる構造変化は、オフィス不要論にも繋がる。そして、都心5区の賃貸用オフィスビルの棟数は、データの残る1990年12月から現在までに貸室面積は782万坪(約2580万平方メートル)と30年に比べほぼ倍増した。貸室面積が広がれば、従来と同じ空室率でも空室面積は倍になる。稼働率を高め、継続してキャッシュフローを生み出したいという大家は、賃料を下げてでも空室を消化しようとする。そう考えれば、今後の都心における賃貸オフィスビルも希少価値がある一部を除けば斜陽産業なのかもしれない。少子高齢化の日本で、人口減にもかかわらず賃貸アパート建設が進む。そして、購買力が落ちたにも関わらず都心のマンション価格は高騰した。金利低下は、労働者の購買力を超えたバブルを誘発した。過去の経験から分かるように、異常な価格は時間をかけて修正される。名目金利が安いと、身の丈以上に借金すれば、マイナス成長に直面して、デフレ下では可処分所得が大きく低下することを経験する。そして、初めて実質金利の重圧にあえぐ。日本は齢社会になった。労働人口が減って担ぐ若者が減った社会が、いつまで持ち堪えられるだろうか。いずれは債務国家に転落して通貨の暴落を招く。そう近い将来でないことを望みたい。
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