早期の損切りの重要性
昨日の米国株式市場は急落し、主要3指数は軒並み3%超安で終了した。引け直前に売りが加速し、ダウ工業株30種は▲943ドル安と7月終盤以来の安値で引けた。S&P500も6月11日以来の大幅な下げを記録した。幅広い銘柄に売りが広がる中、29日に四半期決算を発表するアップル、アルファベット、フェイスブックは、総じて▲4.6%以上の下げを記録した。好決算だったマイクロソフトやアマゾン・ドット・コムも同様に売られた。ナスダックでは、値下がり銘柄数と値上がり銘柄数比が6.28対1。値下がり銘柄数が多かった。米国だけではなく、ドイツやフランスも武漢ウイルス感染拡大の第2波への対応として、新たな都市封鎖を決めた。これも加わって、投資家の不安心理を示すボラティリティー・インデックス(VIX、恐怖指数)は6月15日以来の水準に上昇した。米国では特に中西部で武漢ウイルス感染患者の入院が急増している。それに伴い原油安につれてエネルギー株が全般的に下落した。その結果、テクノロジー銘柄も大きく下げた。また、米原油在庫の増加に加え、世界経済の回復が腰折れするとの懸念から原油の売りも膨らんだ。いずれにしても、武漢ウイルスの記録的感染者数の増加は、欧州や米国の景気後退が深刻化する。米選挙まで1週間足らずとなる中、追加の経済支援策が民主党と共和党で合意が遅れていることも市場に緊張が高まっている要因だ。今日は、アマゾン・ドット・コムの決算が発表される。武漢ウイルス感染拡大が追い風になった銘柄だから、好決算だろうが株価が反応するかどうかは怪しい。米国大統領選挙が1週間と迫る中、株の売買を控える投資家も多いだろう。優良銘柄が好決算といっても、インデックス指数で売りを浴びせられれば、構成銘柄は下落する。株価回復までは、もう少し時間がかかるのかもしれない。当面は、株価に一喜一憂することは避け、個別に企業の本質である業績に注目するしかない。愚生の周りにも、俄か株投資家の友人がいる。喜怒哀楽が多く、愚生の眼には株式投資に向かない性格の友人だ。損切りなどが身についてなく、買うだけの初心者だ。自分の希望や抱負を抱えて株式相場を語る。しかし、相場は本人の意志とはかけ離れた動きをする。これは誰しも経験する。その時に自分の誤りを早期に認めて、どう行動するかが問題だ。不動産の売却でも同様だが、自分の希望では値は着かない。買い手あっての売買だ。買い手の気持ちを配慮して値付けしなければ、いつまで経っても売れない。多くの選択肢がある買い手は、日本中で一番の物件選択だと確信しない限り、リスクを取って買おうとはしない。愚生の友人や知人にも、自分の物件を買ったときの値段が頭から離れないのだろうか。現況価格に合わせて損切りをせずに、売却を先伸ばしする。その結果、いつまで経っても取引は成立しない。結局、死ぬまで決断せずに禍根を子孫に残す。不動産といっても、郊外や地方の物件は、更地渡しにすれば資産価値は実質ゼロ円という負動産も多い。首都圏のRC造りのマンションや団地でも同様だ。築古雇用促進住宅の一戸当たりの売却金額は、60万円だという事実を受け止めなければならない。そういえば、年金の保険料を湯水のように使って全国十三カ所に建設された「グリーンピア」の売却価格は▲3682億円の損失だった。各施設の売却額は建設費のわずか数%だった。この巨額の損失を考えれば、早期の損切りの重要性が改めて分かる。
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