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2020年10月 6日 (火)

老後リスクの先送り

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  最近は住宅ローンの長期化が進んでいるようだ。愚生が若かりし頃は、銀行は返済が70歳時点を超える場合は、収入の如何にかかわらず貸してくれなった。しかし、今は完済時の年齢を原則80歳未満としている。愚生も結婚時に買った川崎市郊外の団地、横浜のマンション、M市の戸建て購入、そして建て替え時に住宅ローンを借りなおした。愚生の人生は、住宅ローンの返済かと思うような人生だった。最期に借りたのが45歳だった。家の立て直し目的だったが、10年返済で55歳を目処にした。サラリーマン人生がいつまでも続くと思わなかったからだ。結局、49歳で繰り上げ完済して、やっと人生に人並みの余裕ができた。しかし、最近は定年退職後も住宅ローンを返済し続ける高齢者が増えそうだという。2020年度の住宅ローン利用者が完済を計画する年齢は平均73歳と、この20年間で5歳も上昇した。これでは、70歳まで雇用が継続されても年金生活では賄えない。貸し手はともかく、借り手は残債の老後リスクをどう処理するつもりなのだろうか。新聞の事例では、68歳の老人の例が載っていた。1993年に3000万円を借りて住宅を買った。しかし、定年時に退職金が出なかったため完済ができなかった。年金だけでは返済資金と生活費を賄えないのでアルバイトを始めた。それでも足らず、今は持ち家の売却を模索している。ユーチューブなどを見ると、三十代半ばのパワーカップル(DINK)が5000万以上のタワマンを購入という紹介例があった。今は低金利とはいえ、住宅価格の上昇に伴い借入金額も膨らむ。住宅ローン「フラット35」を使えば、固定金利で安心だが、金利0%でも毎月12万円のローン返済と3万円程度の管理費修繕費の支払が必要だ。15万円程度は、DNKSならば払えるだろうが、片方の収入がなくなれば70歳まで支払い続けることは容易でない。ましてや少子高齢化の将来に、築35年のタワマンに値段がつくかどうかも怪しい。「フラット35」を提供する住宅金融支援機構の投資家向け資料では、老後に返済リスクを先送りする実態が見えるという。データからは、借入年齢の上昇、借入額の増加、融資期間の長期化の3つの要素が重なり、ローンを完済する年齢が上昇している。要するに、老年期に返済リスクを先送りしている。住宅ローン利用者の借入時の平均年齢は、2000年代前半は37歳前後だった。その後、晩婚化で住宅を一次取得する時期が遅くなった。2020年度では、平均40.4歳というから、20年間で3歳上昇した。そして、借り入れ金額も20年間で1900万円から3100万円に大幅に増加している。これは超低金利政策を背景に、住宅価格が上昇を続けていることが大きく影響している。金利負担が軽いため、頭金を減らして多額のローンを借りる傾向だ。そして、融資期間も30年から33年近くに長期化している。しかし、月収に占める毎月の返済額の比率は22%程度で近年大きな変化はないという。ただ、金利が安くても借りた原資は返す必要がある。実際に、金利が安いと繰り上げ返済のメリットも少ない。平均で60歳時点の残高は、700万円から1300万円に増えている。ローンの融資期間は35年が最長だ。近年は利用者のほとんどが35年を選ぶという。このため多くの債務者が80歳近くまで返済が続く。また、ソニー銀行などは、完済時の年齢を85歳未満に伸ばした。愚生の知り合いでも、68歳で25年ローンを組んだ。いくら金利が安く、銀行がお金を貸してくれると言っても、何歳まで生きるつもりなのかと呆れる。ローンの長期化施策としては、老後にアルバイトや雇用延長で一定の収入を得られるかもしれない。しかし、いくら機会は増えても、給与水準は大きく下がるだろう。一般的には、役職定年で給与は半減する。そして、最近は退職金も減少傾向にある。厚生労働省の調査では、大学・大学院卒で勤続20年以上の場合、2018年の退職給付額が平均1788万円と2000万円に満たない。これは平均だから、万年平社員の場合は、更に受給金額は低い。2018年度に「フラット35」を利用した65~69歳の年齢層のうち15%はパート・アルバイトをしているというから驚きだ。日本では物件が古くなれば資産価値が激しく下落する。その結果、住宅を売却してもローン残高を下回るケースが多いという。まるで1990年頃、日本の土地バブルが崩壊した状態と同じだ。ただ、大きく違う点は、あの当時の債務者は、現役の壮年期サラリーマン世代だった。愚生も含めて、多くの人が質素倹約で苦境を乗り切ってきた。今回の場合は、リスクを先送りしたことが原因だ。そして、自ら招いた老齢者だから、なおさら始末が悪い。

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