苦しそうな姿を見るのは辛い
愚生宅には、やんごとなき血統を持つロシアンブルーがいる。暇な主人と共棲するロシアンブルーで、愚生や妻を顎でこき使う威厳を備えている。飼い主より遥かに血統は上であるし、誰がみても眉目秀麗だ。犬猫病院などに行けば、中年のお姉さんから「イケメン」だと声をかけられ、猫を触らして欲しいと懇願される。愚生自身のことではないが、何時も誇らしい気持ちになる。人の年齢では75歳くらいだというから天寿とまでは言わないが、いつ逝ってもおかしくはない。ショーキャッ系の純粋な血統種だから、野良猫のような力強い生命力はない。そのため食に対しても、非常に淡白だ。飢えたことのない血統種の彼等は、餌など探すDNAなど持ち合わせていないのだろう。そのせいか、友人が飼う捨て猫と違い家の中の壁や衾を傷めたりはしない。また、置いてある食べ物に手を付けたりはしない。育ちの良さが窺えると言ってしまえばそれまでだ。その威厳のある猫だが、15歳近くにもなり流石に体調は良くない。内臓から出血しているようだから、そう長くはない気もする。いずれにしても15年間もお世話になったのだから、何かあった時に飼い主が家にいないのでは困る。そう思ってGo to travelで予約していた旅行を違約金を払ってキャンセルした。旅行は今でなくとも可能だ。しかし、猫の余命は待ってはくれないから軽重の度合いは無限大くらい違う。実の子供たちが巣立って、残されたロシアンブルーが唯一の子宝だった。彼は生まれてすぐに愚生宅に来た。一頭飼いだから、本人は猫だとは思っていない。そのせいか愚生らに遠慮もしない。食事の時でも、愚生に持ってくる一皿目と猫用の魚実が入った茶碗が同時で配膳されなければ不満を漏らす。妻が申し訳ないと謝りながら、猫の機嫌を取りなすことも多い。長い間一緒に暮らしていたため、猫語でも彼の意志は十分に理解できる。親心としては長く生きて欲しい。しかし、苦しそうな姿を長い間見ることも辛い。以前に飼っていたラブラドルレトリバーの時も、半年くらい辛い姿を見ていた。ただ、救いは目の前で息を引き取ったことだ。今回もそう望みたいものだ。
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