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2020年11月16日 (月)

『東京家族』はオリジナル版と遜色なし

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昨日は、時間を持て余したのでアマゾンプライムで、『東京家族』を見た。東京家族は、小津安二郎監督による『東京物語』(1953年)をリメークして制作したものだ。設定やストーリーなど大部分を踏襲したが、時代背景を平成に移し替えた。広島側の舞台は、尾道から豊田郡大崎上島町に変更された。愚生は小津安二郎の『東京家族』は、何度か見た記憶がある。出演者は、笠智衆、東山千栄子、原節子、杉村春子、山村聡、三宅邦子、香川京子、そして東野英治郎や中村伸郎と、そうそうたるメンバーだった。そういう理由で「男はつらいよ」シリーズなどの娯楽映画を手掛けた山田洋次監督の作品を見る気はなかった。しかし、現代の東京を舞台とした家族の物語『東京家族』は、老夫婦役に橋爪功と吉行和子、長男役には西村雅彦、長女役には中嶋朋子と、実力派の役者が揃っていてオリジナル版と遜色を感じなかった。また、ロケ地が東京郊外の町田市の高級住宅街「つくしの駅」近辺だったことも親近感を覚えた。そして、長女の美容室は小田急沿線。高級ホテルは、横浜のコンチネンタルホテルだった。愚生の勤め人時代の友人がコンチネンタルを結婚式で使ったが、400万円も払ったと言っていた。尾道市から変更したのは、交通環境が整備され『東京物語』の時代ほどの片田舎ではないため、フェリーに乗る大崎上島町に変更したという。東京物語では、主役の老夫婦が子どもたちからプレゼントされるのが、熱海の温泉旅行だった。今回は横浜のコンチネンタルという高級ホテルに変更された。愚生は熱海旅行では都合が悪ければ、箱根にすべきだと思った。いったい、コンチネンタルに泊っても何を見るのだろうかと疑問に思った。今回は『東京物語』における三男と次女にあたる人物は登場しない。そのかわり、『東京物語』では戦死した設定となっていた次男は生きていて、妻夫木聡とその恋人を蒼井優が演じていた。彼らの演技力も素晴らしく、改めて若手の実力派を見た気がした。愚生が論評する知見は持ち合わせてはいないが、正直『東京家族』の方が面白かった。それは、映画自体よりも、つくし野や田園都市線、小田急線などが身近に感じたからかもしれない。そういえば、「ニュー・シネマ・パラダイス」のジュゼッペ・トルナトーレ監督がマルチェロ・マストロヤンニ主演で撮ったイタリア製人情悲喜劇「みんな元気」や、それをリメークしたロバート・デ・ニーロ主演の「Everybody's Fine」なども、同様に小津安二郎監督の「東京物語」のリーイク版だろう。老人の目を通して人間のぬくもりと残酷さが垣間見られる。愚生もその年になって、この映画の深い意味が理解できるようになった気がする。

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