『一衣帯水』と『守望相助』
中国の王毅外相は、日本には「中日は一衣帯水のような長期的協力パートナー」と呼びかけた。一方、韓国電子版新聞によれば「中韓は守望相助の戦略的協力パートナーだ」と言った。愚生はこの違いは何であろうかと思う。一見、似たような表現だが、それぞれ使った中国の故事成語の意味は大きく異なる。「一衣帯水」は、南北朝時代を統一した隋の文帝が南朝の陳に対して「帯ほどの狭い小川」(揚子江)を間に置いた隣国だとし、平和共存を強調して使った言葉だ。「守望相助」は「孟子」滕文公上篇に登場する故事で、隣村同士、外敵の侵入に対抗して共に守り互いに見張りをしながら助けるという意味だ。韓国新聞によれば、2つの言葉はともに近い隣国を意味するが、「守望相助」がより積極的な協力を強調する意味だと歓喜する。要するに、「日本との関係を称した『一衣帯水』は非常に中立的な表現」としながら「それに比べて韓国との関係を『守望相助』と表現したことは、現在、中国が韓国の助けを切実に必要としているという意味」だと解釈する。そして、米中関係の変化の中で、韓中協力の重要性を強調したと自我自賛している。お目出度いというか、どうしてそのような解釈が可能なのだろうか。誰が見ても、米中共に韓国に助けを請う必要もないし、韓国にその力もない。これに先立ち、日経新聞も米国が政権移行の「政治空白」期に、中国が対面外交を推進して、日本に秋波を送ったという。そして、わざわざ来日して「一衣帯水のパートナー」と持ち上げたのは、米中対立下で日本が重要性を増すからと似たような我田引水をしている。ただ、王毅外相は韓国の康京和長官との会談で、韓国のTHAAD(高高度ミサイル防衛)体系配備に関して、これを強く撤収することを求めている。故事の意味を厳密にいえば、日本に対しては「お互い平和共存でいきましょう」と呼びかけ、一方、韓国に対しては「お前、俺の仲間だよな」と踏み絵迫ったとも解釈できる。即ち、日本は隣の独立した地域であるのに対して、朝鮮半島は大陸と一体化して当然の地域とみなす。韓国は、漢字を捨てたため「守望相助」の意味を解釈できていない。実態は「香港化しろ」と恫喝されたとも解釈できる。要は、中国の言う通りにしろと迫っている。そう考えれば、日本とは「中国包囲網などと言わずに仲良くしよう」という誘いだ。韓国には「中国の属国として、米韓同盟破棄、中韓同盟を作り米国に対応しよう」とも読み取れる。「孟子」滕文公編は、孟子が中国戦国時代の「小国」である滕国の君主(滕文公)に、治国の秘訣を説いたものだ。「守望相助」の句の前後には、「夫滕壌地褊小(滕国の領土は矮小)」だとか「無君子莫治野人(君子がいないと野人は無秩序になる)」等など、上から目線の文言があることを考慮しなければならない。穿った見方では、「守望相助」とは、同一地域の村民が有事には助け合うことだから、韓国が対等な独立国と認めていない。単純に考えても「一衣帯水」は尖閣諸島問題だろう。いずれにしても、中国から見て対日外交は対等な立場だ。一方、韓国に対しては、冊封体制の主従関係だろう。ところで、今日はめったに見ないサンデーモーニングで、コメンテーターの張本勲(野球評論家)が2020の日本シリーズの敗因に、DH制度と京セラ球場を理由に挙げて批判していた。半島人には、冷静な分析や判断という思考がない。相手を称えずに、負け惜しみしか言わない文化は、朝鮮半島で醸成されたのだろうか。
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