時代錯誤の支那帝国
中国共産党(中共)は、時代錯誤の支那帝国となりつつある。習近平政権は近代国家とは程遠い独裁国家だ。政経分離で自由主義経済の恩恵を受けて発展してきたが、内部は人権無視の前近代国家だ。その証というか制約は、電子商取引最大手のアリババ集団率いて生きた創業者の馬雲(ジャック・マー)にも及んでいる。馬雲は中国共産党員だが、これまで中国経済と共産党に多大な貢献をしてきた。しかし、アリババ傘下のアント・グループ(アリペイ)は突然、香港市場への上場延期に追い込まれた。巨大化したアリババに対し、その拡大に歯止めをかけなければ現政権と共産党支配が脅かされると危機感を持ったのだろう。支那帝国の基盤が固まったから、役御免というわけだろうか。アリリババは日米の株主(ソフトバンク、旧米ヤフー)が40%以上も持っている。流石に習近平もあからさまに不当介入はできない。しかし、子会社のアリペイを運営するアント・グループは、馬雲が筆頭の企業だから強権介入したのだろう。習近平は、「独占禁止と資本の無秩序な拡大防止」は「国家安全、政治の安全、政権の安全」につながると考えている。確かに自由主義経済下での独占禁止は、公平な市場発展を目的にするための普遍的な政策だ。しかし、「資本の無秩序な拡大防止」と言えば、社会主義が掲げる国有や公有経済に等しい。そして、最近の習近平政権は、国有企業による民間企業の買収を推し進めている。このような社会主義回帰政策は、将来的には支那帝国の力を削ぐ結果になる。愚生としては大賛成の方針転換だと思う。しかし、アリババのような大企業を、政権が倒産にまで追い込めばインターネット消費に頼る中国経済自体は大打撃を受ける。中国という国体自体が傾くから、大きくてつぶせない企業だ。そして、アリペイのように少額決済市場で主導的な地位を築けば、中央政府発行の通貨(人民元)などは不要になる。すでにアリペイは、一般市民の決済を担い、重要な金融インフラを備えている。どうも、習近平政権は、巨大民間企業の出現を「政治、政権の安全」の脅威だと感じているようだ。政治局会議の後、中国政府がアリババと対話アプリ大手の騰訊控股(テンセント)子会社などに罰金を科した。欧米各国ではGAFA(グーグルの親会社アルファベット、アップル、フェイスブック、アマゾン・ドット・コム)など巨大IT企業への規制が強化しつつある。しかし、中国の動きはこれに追随するものだと思われがちだが本質は全く別だ。中国では、国民が民主的に政権を選択する仕組みを持たない。政治と政権の主体は共産党だ。中共などと言う組織は、人民を搾取する古代の貴族支配層と同じだ。寄生虫と同様、働きもしないで人民の血を吸い取る蛭だ。過去の歴史を振り返れば、何れ身の破滅を招くだろう。習近平は国家安全というが、国民主体ではない共産党という貴族階級の特権のことだ。つまり、共産党がすべての利益を蝕む一党支配体制の維持だ。毛沢東の失敗から何も学んでいない。過去に鄧小平が築いた集団指導制の伝統は忘れ去られている。習近平の目指すものは、自身によるトップダウンの独裁体制だ。既に習近平は、任期制限がない政治制度を施行している。香港立法府の頭越しに決定した香港国家安全維持法も同様だ。
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