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2021年3月13日 (土)

会社にしがみ付くと税制に疎くなる

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日経新聞に、定年が近づいたら退職金をどう受け取るかという記事があった。定年時などに受け取る退職金は、勤務先によって異なる。定年時に全額をまとめてもらう一時金形式や分割して受け取る年金形式、両者を併用する形式がある。調査によれば、併用形式の企業が7割超を占めるという。一般的には、併用形式では一時金でもらう分と年金でもらう分の金額や割合を自分で選べる。そこでどんな受け取り方が有利かという問題になる。60歳時点で退職金が1900万円で受け取り方は全額一時金、全額年金、併用で半額ずつという3つを想定する。60歳からの10年間で収入がどうなるかを試算している。年金形式の運用利率は年「1%」とし、退職金のほかに64歳まで再雇用によって年収390万円、65歳から公的年金を年260万円受け取るという前提だ。額面ベースでは、全額年金で受け取る方法が、約5250万円と最も多い。会社が一定の利率で運用することが大きく、全額一時金を100万円程度上回る。また、併用するケースでも全額一時金に比べ多くなる計算だ。これだけをみると年金形式が有利にみえる。しかし、所得税と社会保険料を差し引いた手取りベースでは、全額一時金が約4700万円と最も多い。次いで併用、全額年金という順で、今回の試算では全額一時金と全額年金の差額が約200万円に広がる。愚生も退職金を貰ったとき思ったことは、長い間勤めれば税金はほとんど課税されないことだ。退職金の非課税枠は勤続年数20年までは年40万円で、20年超は年70万円ずつ増える。例えば大学卒業後に60歳まで38年間勤務した場合は、2060万円までが非課税だ。非課税枠を超える場合は超過額の半分が課税対象になり、ほかの所得と分けて税率が決まる。これは、天下りを重ねる官僚たちがサラリーマンに都合よく作った法律だ。また、この比較の中で注意することは、会社が「1%」で運用するという内容だ。会社によっては、「5.5%」で運用する場合もある。ここの議論を詰めないと比較は簡単ではない。一方、年金形式でもらう場合は「雑所得」となり「公的年金等控除」という非課税枠の対象となる。公的年金などと合算し60歳代前半は年60万円、後半は110万円までが非課税で、非課税枠を超えた分は全額が課税対象になる。年金形式は年間の非課税枠を超えてしまうから課税枠は大きい。60歳から非常勤で勤務して、年金額を増やすと言っても課税されるから、よくよく計算してみないと良否が判らない。また、年金形式で退職金をもらえば国民健康保険料などの社会保険料の増加につながる。企業の退職者健康保険が75歳まで適用できる健康保険組合は、日本では66組合しかない。ここでも年金形式で受け取ると、保険金の支払金額が跳ね上がる。健康保険や介護保険の保険料は、今後も上昇するだろうから、年金形式で受け取る場合は将来に負担増のリスクがある。税制を良く知らないで、老後に賃貸アパート建設などすれば、所得税や住民税、国民健康保険料、介護保険料などが跳ね上がる。サラリーマンをして会社にしがみ付いて生きてくると、日本の税制に疎くなる。愚生が最善と思うのは、退職金をすべて一時金で貰い、その金を運用した方が効率は良い。資産は金融商品や市場で簡単に換金できるもの以外に投資すべきではない。不動産の価値などは、市況により換金に時間がかかる。早期に換金しようとすれば、大幅な値引きが必要になるからだ。年老いて特に必要なことは、資産の透明化だ。いつまでもあると思うな親と金という諺もある。親はともかく、金がないのでは長生きは辛い。

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