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2021年3月15日 (月)

量子コンピューターに期待が高まる

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先端技術を巡る米中の覇権争いが新たな局面に入ったという。焦点の一つが産業競争力や安全保障を左右する量子技術だ。量子というとわかりづらいが、素粒子のように「波」でもあり「粒」でもある性質を持つ光のようなものだ。その量子の特徴を生かして、量子コンピューター開発がおこなわれている。バイデン政権は、量子コンピューターや人工知能(AI)が経済や軍事、雇用、格差問題に広く影響を与えると指摘し、米国が主導権を握ると強調する。中国も同様に研究開発費を年平均7%以上増やしAIや半導体と並び量子技術を重点対象の一つにあげている。愚生はノイマン型コンピューターについては仕事柄よく理解できるが、次世代の量子コンピューターというと平易に理解しかねる。ノイマン式は「1」と「0」という二進数でbitという単位で構築されるため回路も容易に理解できる。しかし、量子コンピューターは「0」「1」「0または1」という状態をQubitという単位で処理する。例えば、10bitの情報をノイマン型コンピューターで処理すれば二進数だから2の10乗=1024回の計算が必要だ。一方、「0または1]の量子ゲートQubitで計算すれば1回で済む。実に高速に処理できることはわかるが、エラー処理などはどうするのだろうか。ノイマン型コンピューターなどは、パソコンなどの外部メモリーでは誤り補正は行わないことは多い。しかし、半導体素子のfit数から言って、ある確率では誤った結果が出る。そのため、余剰bitを持って補正している。量子コンピューターはこの辺の技術目処がたつのだろうか。それとも画像処理プロセッサGPUのように高速処理をする部分だけをハイブリッドで構成するのだろうか。量子ゲートの設計を含めて技術的な課題は大きいような気がする。しかし、いずれにしても古典的なノイマン型のコンピューターの高速化も限界に近づきつつあるから、次世代の量子コンピューターに期待が高まるのだろう。特に、究極の秘匿性を誇る量子通信・暗号などの分野は、国の安全保障の要だから米中とも手は抜けない。量子技術関連の公開特許では、量子コンピューターのハードウエアは(140件)のIBMを筆頭にマイクロソフト(81件)、グーグル(65件)など米国勢が上位に並んでいる。計算に必要なソフトウエアも米国が先行しているようだ。しかし、量子通信・暗号は光子(光の粒)をやりとりする装置などハードに関わる特許は華為技術(ファーウェイ、100件)が2位と中国勢の出願が目立つ。この分野ではソフトでも中国勢が強い。米国は安全保障に絡む技術で常に優位を保ってきたが、量子技術分野の特許出願数で中国は3000件を超え、米国に2倍もの数だという。特許数が多いからと言って技術が先行しているとは言えないが、それなりの成果があることは確かだろう。今後、量子化技術の実用化にまでは紆余曲折があり、時間がかかるだろう。しかし、何れは商用ベースの実運用でも登場してくるに違いない。それまで、愚生の余命がないことだけは確かだろう。

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