施して報を願はず
昨日、長男が遊びに来た。長男と言っても40歳にもう少しでかかる歳だから、世間からみれば叔父さんだ。親バカなのか、爺と婆とロイ君(チワワ)の三人暮らしなのでロイ君も含めて大歓迎だ。ロイ君は9ヶ月とまだ幼いが、長男が住んでいたことを彼は知らないから、家の主人のような顔をして愛想よくふるまっていた。先日、次男が家に来てタイに駐在予定のことや、入籍のことを話していた。そこで、長男にもそのことを一応伝えた。愚生宅の兄弟は比較的に仲が良いので、お互いのことは多少気になるようだ。ただ、結婚や同棲してパートナーができてしまうと、疎遠になると言うより、身内の優先順位は大きく下がってしまうようだ。愚生自身を思い返しても、結婚をして子供ができてしまうと、親や兄の事を気にかけることは少なくなった。長男も嫁の親族から頼られているせいか、豚もおだてれば木に登るとう感じで、嫁の親族の一部に取り込まれている感がある。自分の子供はいつまで経っても、子供扱いするせいだろうか、こちらの心配などはしないようだ。そう言えば、愚生にも兄はいるが、世間でいう変人なため、電話をしてもハガキを出しても返事が来たためしがない。困ったものだと思うが、兄弟は他人の始まりだと、つくづく思い知らされる。確かに家族や親のことまでは考えるが、平生から付き合いが少ない兄や兄の子供のことまで気に留めることはない。自分の親にしても、自分の子供より優先順位はどうしても低くなる。そう考えれば、自分の子供たちに親の方をもう少し向くように言ったところで、嫌われるだけだろう。愚生の友人たちは、親に「親孝行したい時には、親はなし」と親孝行を迫られるという。しかし、愚生の場合は、自分なりに母を気にかけていたと思う。しかし、母は機嫌が悪いと、そのことを忘れて愚生を口汚く罵る。なかなか、「施して報を願はず、受けて恩を忘れず」という心境にはなれない。
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