晩節を汚す
「晩節を汚す」とは「人生の終わりごろに名誉を失うこと」という意味だ。愛知県西尾市は、新型コロナウイルスのワクチン接種に関し、副市長の指示で大手薬局チェーン「スギホールディングス」の杉浦広一会長(70)と妻(67)の予約を優先的に確保していた。中村健市長は会見で「市民におわび申し上げる。猛省し、今後、特定の個人や団体に便宜を図らないようにしていく」と謝罪した。秘書が市職員を恫喝して、優先順位を上げたという。スギ薬局は東京郊外の愚生宅近くにもあるから、ずいぶん大きな会社なのだろう。一部上場企業だから、愛知県の田舎から全国展開して大成功を収めたようだ。夫婦とも65歳以上だから高齢者枠で優先接種が可能だ。一般の人と比べれば、優遇されている。そして、接種枠も秘書依頼しているから、何不自由はない。しかし、なぜ早く打ちたいと市を恫喝したのだろうか。この無理な要求が知れたため、全国に夫婦の名前と違法行為が知れ渡った。平生、偉そうなことを言っていても、ずる賢く立ち回る自身の本音が見え隠れする。今まで築いた信用や尊敬が、一気に崩れ落ちた。長くとも二ヶ月くらい待てば済む話だ。また、兵庫県神河町で65歳以上の高齢者への新型コロナウイルスのワクチン接種が始まった5月6日に、山名宗悟町長が62歳で接種対象ではないにもかかわらず、ワクチンを接種した。町内の公立病院で発生したキャンセル分を接種したというが、65歳以上の打ち終わらない高齢者はたくさんいるはずだ。町長が違法行為を率先して、安全安心など期待できない。町長は病院関係者という位置づけだというが、加藤官房長官は「公平性に反することがあれば誠に遺憾だ」と批判した。ようするに、組長は病院関係者の接種優先には当たらないとの見解だ。山名町長は2回目の接種も予定通り行う考えというが、政府の見解を無視するのだろか。一方、茨城県城里町の上遠野修町長(42)に至っては、42歳というから問題は大きい。そして、副町長や教育長らも打ったと説明するから、初めからの確信犯だろう。しかし、こういう組長を選んだのは住民の責任だろう。ただ、こういう事例は氷山の一角で、多くの人が接種を優先的に行っていると疑いたくなる。浅ましいとしか言いようがない。名前が出た人たちは、全国的に有名にはなった。しかし、このような不名誉な事例で名前を知られたくはない。南米ペルーでは、当時の大統領や閣僚、公務員ら「特権階級」が国民に先駆けてひそかに新型コロナウイルスのワクチン接種を受けていた。大統領は、保健相と外相を含む公務員ら487人が立場を利用して「ずる」をしたことを公表した。ただ、ペルーのワクチンは中国製薬大手シノファーム製だから効果があったのだろうか。地元紙によると、保健省でも最高幹部を含む多くの職員が注射を受けていたという。結局、不祥事の責任を取り、保健相が今月12日に辞任した。また、外相も「深刻な間違いを犯したことを認める」と引責辞任した。公務上、私が感染するわけにはいかなかったとの弁明は通らなかったようだ。検察当局は「役職を利用して不正を行った疑いがある」として予備的捜査に着手したという。日本でも検察特措部は公平性や信頼性保つために調査すべきだ。愚生が勤め人時代に思ったことは、平生偉そうなことを言っていた役職者に限って会社にしがみ付いて辞めなかった。美学もなく恥をさらしている彼らの生きざまを見てきたので、愚生は早々に後進に道を譲る選択をした。
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