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2021年7月29日 (木)

資産は米ドルベースで持つべき

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ソフトバンクグループは配車サービス「滴滴」の投資損失を穴埋めするため、保有するウーバー・テクノロジーズ株の一部を売却する。持ち分の約3分の1に当たる4500万株のブロック取引だという。支那政府の統制経済で大幅に暴落した中国株の影響は、日本企業にも及んできた。ところで、「弱い日本の強い円」の著者、佐々木融氏の「円安は後退する日本の象徴」というコラムがあった。それは、為替相場の面からみた現実についての内容だ。今年に入ってからの為替市場では、円が先進国通貨の中で独歩安となっている。現状の円実質実効レートの水準は1970年代前半以来の最安値に近い水準だという。当時と言えば、1ドルは280円~314円だった。現在の水準は過去30年間の平均からは30%も割安となっているという。そういえば、愚生が欧州へ一人旅した頃は、フランスのパリ(東駅)で買ったホットドックも日本円ベースでは高かった。少額コインを渡すと、売り子に日本と違いフランスは物価が高いから言われたことを思い出す。あの当時の闊達だった自分を思い出すと隔世の感がある。佐々木氏のコラムでは、長期的に見ると、円の弱さはアベノミクス開始後から実質実効レートはおおむね1970年代前半と同レベルで推移し続けているという。つまり、円の購買力が1970年代前半と同水準ということだ。アベノミクス以降に大幅な円安となってからは、来日した外国人は「日本は安い」と口をそろえて言う。その理由は、「日本の物価上昇率が他国と比べてかなり低いのに、為替レートがその分の調整をしていない」ことが背景だという。そういえば、2000年以降の約20年間でみると、日本の消費者物価指数は2-3%程度しか上がっていない。大卒の初任給なども同様だ。その結果、物価上昇率の差の分だけ、円という通貨の相対的な価値が他国の通貨に比べて上昇した。しかし、実際の為替相場をみてみると、ドル円相場は2000年の平均レートと2021年前半の平均レートがほぼ同水準のため、インフレ上昇分の差分だけ円安水準となってしまっている。その理由として以下の4つが挙げている。
1.日本企業は海外に進出し、海外で利益を積み上げている。
2.輸入企業は円安で上昇しているはずの輸入価格を国内価格に転嫁できない。
3.外国人投資家の失望・日本株売り。
4.円という通貨は日本国内で価値を維持しているため、日本の物価は上がりにくい。
その結果、円が割安な水準から調整されないだけでなく、日本は年収も上がらないので、相対的な購買力が低下してきている。日本の平均年収は、非正規雇用が増えたせいなのだろうか平均で440万円しかない。OECD加盟国で年収が減っているのは日本だけで、今や順位は20位まで低下しており、韓国とほぼ同水準だ。日本人の給料は上がらない一方、海外の人の給料は上がり、現地のモノやサービスの価格は上昇する。本来それを為替レートが調整するのだが、その機能が働かなくなっている。円相場が他国との物価上昇率の差を反映しなくなり、日本が世界の中で高所得国から中所得国になってしまった。海外の投資家が日本の不動産や株が安いと投資しても、儲からなければいずれ売りを浴びせる。そう考えると、資産は米ドルベースで持つべきなのだろうかと考えてしまう。

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