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2021年7月12日 (月)

デジタルトランスフォーメーション(DX)

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デジタル技術でビジネスモデルを変革する「デジタルトランスフォーメーション(DX)」という言葉が流行りだ。しかし、多くの企業は過去のリストラで、実動部隊の情報システム部門をシステム委託先に売却した。そのため、会社のCIOといっても、システムに疎い名ばかりの人材が多いのが実態だ。コロナ下で世界のDXは加速しているが、遅れているDXをどう底上げしていくかが課題だと言う。経済産業省の研究会が2018年にまとめた「DXレポート」も日本企業のこうした問題を指摘している。米英独企業の3~4割にCIOがいるのに日本は1割強にとどまる。そして、社内人事でCIOになったといっても、実権もエンジニア部隊もない場合が少なくない。日本企業におけるIT人材の不足は、バブル崩壊後の1990年代に情報システム部門がリストラで本体から分離された。企業の情報子会社の多くは、コスト削減目的のアウトソーシングが実態だった。実際には、システムを受託開発する大手のシステムインテグレーターの下請けからの派遣エンジニアの出向だ。1960~70年代にメインフレームを導入した当時の情報システムのノウハウと人材が途絶え、IT投資はシステム業界への丸投げが常態になった。特に、自社業務に都合よく独自仕様で導入したERPは継ぎはぎ改修を繰り返し、設計にかかわったシステム会社しか判らない仕様だ。一般的に、情報化とは企業のノウハウをコンピュータシステムに置き替えたものだ。そのため、汎用的なパッケージソフトの導入は容易でない。最近でも、システム発注先のシステム企業と発注元の銀行との裁判などが起きている。欧米では汎用パッケージソフトが広がったが、日本企業はベンダーロックインが多い。日本企業の売上高に対するIT予算の割合は2020年に推定1.0%。北米の3.3%、欧州・中東の2.6%に比べ各段に少ない。そして、外部委託費の比率が34%と高い。一方、ユーザー企業のシステム内製化が進む北米の20%と比べると丸投げ体質が見える。米国では情報システムのプロがCIO、CDO(最高デジタル責任者)、CTO(最高技術責任者)といった肩書で移籍するのが一般的だ。愚生が勤務した企業のSE出身の友人は、年に4日しか休んでいないと言っていた。(1970~80年代の話)ところで、DXを支えるデジタル人材の待遇は日米で大きな開きがある。30代エンジニアの年収は日本が526万円なのに対し、米国は1238万円だ。ユーザー企業のシステム開発を元請けのシステムインテグレーターが受注して下請け、孫請けに業務を回す。まるで建設業界と同様な業界構造が格差の一因になっている。元請けの管理下で実際のプログラミング作業を進めるのは2次、3次の下請けだ。多重下請け構造の底辺に近づくほど中間マージンが抜かれて低賃金に甘んじる請う構造だ。米国では、クラウドサービスに事業の幅を広げており、ユーザー企業は定型サービスを使いながら効率よくDXを進める。日本企業の独自仕様のITシステムは改修を重ねて複雑になり、全貌を知る人材が乏しい「ブラックボックス」になりつつある。これは以前から指摘されたことだが、受注企業は随意契約に等しくなり儲かる仕組みだ。企業年金基金をもらう身の愚生は複雑な気持ちだ。

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