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2021年9月 2日 (木)

中堅自動車メーカーの生き残りは大変

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SUBARU(スバル)の時価総額は、5年前の半分になっている。愚生もずいぶん前にレガシーに乗っていたので何か愛着というか気になる企業だ。スバルの2022年3月期の連結営業利益は前期比約2倍の2000億円を見込みだ。これは、新型コロナウイルスの感染拡大前の2019年3月期の実績を1割上回る。販売台数も前期比10万台増の96万台まで回復する見通しだ。ところが、スバルの株価はさえない。トヨタやホンダの株価は、コロナ前の水準を上回っているにもかかわらず、スバルは安値圏に放置されている。その結果、時価総額も約1兆5660億円と、5年前と比べて半分になった。下落率は世界の自動車関連株の上位30社の中で最も大きいという。ROAは会社が持つ資産をいかに効率よく使ったかを表す指標だ。ファナックなど無借金経営と誇っているが、余剰金があるなら自社株買いをすべきだ。なぜなら、利益率が高いから銀行から金を借りて事業を廻せば、ROAは改善する。余剰資金で株数を減らせば、その分株価は上昇し投資家は喜ぶ。自社ビルを持つ企業も同様だ。都心に評価額が高いビルなど持てば、固定資産税がかかるだけでなく総資産が膨らむ。その結果、お金の使いかたが下手な経営者と見られる。その証拠に、会社が傾くと自社ビルを売却する会社は多い。ソニーやNEC、シャープ、古くは東京計器などもそうだ。テレワークの昨今では、借りているオフィスビルまで返却して賃料を減らす企業も多い。そのせいだろうか、都心のオフィスビルの空室率が異常に高くなった。不動産投資などで過大な借金をしている投資家は、返済が重くのしかかり青息吐息だろう。また、売上高営業利益率は、営業利益率とともに稼ぐ力の効率性を示す。どうもスバルの株価が冴えないのは、ピークだった2016年3月期から大きく低下しているからだろう。利益率は5年前に比べて14ポイント近く落ち込んだ。2018年3月期までは10%台の利益率を維持したが、今期の見込みも6・1%。ROAも5年前は16.8%あり、トヨタ(4.9%)などの競合を大きく上回っていたが、2021年3月期は2・2%にまで下がった。何が原因かと言えば、設備投資などを増やすが、それに見合った販売台数を獲得できていないことだ。工場や機械などの「有形固定資産」は2021年3月期までの5年間で5割弱増えた。しかし、販売台数は設備投資の伸びを補えていないからだ。どうも、スバルファンは車を買い替えて乗り継ぐが、新規の顧客が付かないことが原因だという。車がEVにシフトする中では、水平対向四気筒のスバルエンジンや四駆の良さは引き継がれない。中国・上汽通用五菱汽車(ウーリン)は、2020年7月に発売したEVは、最低価格は約49万円だ。その人気ぶりは、中国でも販売好調な米テスラのEV「モデル3」を月間販売台数で上回るほどだという。この車種は、三菱自動車から技術を学び、中国のニーズに合わせてサイズを少し大きくし年間100万台くらい造っている中国版軽自動車が礎だ。こうなると、日本に限らず世界の中堅自動車メーカーの生き残りは大変だろう。

 

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