「共同富裕」の実現
中国当局は教育事業に次いで、国内ゲーム業界にも新たな規制強化策を発表した。未成年がオンラインゲームを楽しむことができるのは週3時間まで、オンラインゲーム事業者が未成年にサービスを提供できるのは金曜と土曜、日曜の各1時間だけと決められた。新ルールは、過度なゲーム利用を防ぎ、未成年の体や精神面の健康を守ることが狙いだとしている。しかし、愚生のような自由主義世界に住む者には、大きなお世話だと言いたくなる。中国政府は、テクノロジー企業に対する締め付けを全般的に強化している。ゲーム規制の厳格化で一番影響を被るのは、中国最大のゲーム会社テンセント・ホールディングス(騰訊)ではないだろうか。政府系メディアが今月に入りゲームを「精神的アヘン」だと批判したことで、テンセントの株価が大きく下落した。アリババやテンセントを狙い撃ちにした規制ならば、怖くて中国株など持てない。愚生も数年前に、短期間であったがアリババやテンセント株を持っていたので、肝が冷える思いがする。テンセントが発表した4-6月(第2四半期)の売上高は2019年以来の低い伸びにとどまった。教育事業などに広がる当局による締め付けの影響が表れたのだろう。中核のモバイルゲーム事業も減速した。政府が社会問題や所得格差の是正に取り組組むと言っても、周知期間も置かずに規制されたのでは経営は成り立たない。政府に文句を言えば逮捕や資産没収のため、テンセント社長は「インターネットのような業界は、その規模や重要性に照らして規制がかなり緩かったため、規制強化は想定して然るべきだ」と言うしかない。契約などの約束事を守らない朝令暮改の規制は、いずれは自分の首を絞めるだろう。香港市場に上場されているから、損した外国人の投資家も多いだろう。そういえば、アリババ創業者の馬雲(ジャック・マー)が保有するアント・グループ(アリペイ)の新規株式公開も実現は難しくなりそうだ。中国共産党の習近平は、所得の規制や再分配など「共同富裕」の実現を説く。要するに、高所得の規制・調整を強化し、高所得層と企業に強制的に社会へ稼いだ金を還元させるということだ。この報道を受けて、中国人への依存度が高まっている高級品市場は暴落した。LVMHモエヘネシー・ルイヴィトン、ケリング、エルメス、リシュモンの株は大きく売られ、合計で約7兆7000億円にのぼる時価総額が失われた。株を持っている人は、習近平にいい加減にしろと言いたくなるだろう。中国で今後、過度に裕福な人々に厳しくあたる風潮が強まれば、高級ブランド業界の目算は大きく狂うことになる。桑原々々。
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