「岸田ショック」の株安
米フェイスブックの元社員は、米議会公聴会で子供の安全より利益を優先してきたと証言した。多くのフェイスブックの内部資料は、10代以下の児童の精神的な健康に悪影響を及ぼしていると指摘した。例えば、画像共有アプリのインスタグラムなどのアルゴリズムは、利用者が興味のある内容を繰り返し表示する。これは、たばこと同じように、悪いと思っても自分ではやめられなくなり中毒性を高める。フェイスブックは利益と安全の衝突の中で、自社の利益を優先してきたと批判した。フェイスブックは、政界や消費者保護団体からの批判を受け、インスタグラムの13歳未満向けサービスの開発を一時中断することを明らかにした。米フェイスブックもこれを受けてか、一時ずいぶんと株価は下げた。一方、岸田文雄政権誕生後も日本株は下げ止まらず、6日の日経平均株価は約12年ぶりに8日続落を記録した。国内要因が招いた今回の株安を、市場参加者たちは「岸田ショック」と呼びはじめた。アベノミクスの否定から、外国人投資家の日本離れが始まったのだろうか。米ニューヨーク在住のヘッジファンド運用者などは、一様に岸田売りモードだ。1990年代以前の古い日本に戻ってしまうのではないかと、みな一様に警戒しているという。岸田首相の『令和版所得倍増』は分配(増税)ばかりが強調される。いったい、どうやって成長するのかが語られていない。岸田氏が自民党の総裁選に勝利した9月29日以降、日経平均の下げは2015円(6.8%)に達した。菅義偉前首相の退陣表明を経て、8月20日の年初来安値を起点に、新政権期待がけん引した株価上昇の約8割を吐き出した。同期間(9月28日~10月5日)の騰落率は米ダウ工業株30種平均が0.04%高、MSCIワールドが0.5%安だ。このまま株安が止まらないのなら、早期に岸田首相は退陣すべきだ。なぜ、これほど投資家は岸田新政権に強く失望しているのか。愚生が危ぐしたと同様に、真っ先に思いつくのは、岸田氏が記者会見で説明した株のキャピタルゲイン課税や配当課税などの金融所得課税の引き上げだ。まるで株式投資は悪いことをしているような古い固定観念には違和感を覚える。額に汗もかかずに、親の家業の政治家を継いでボヤッと生きてきたのだろう。個人投資家を中心に反発が広がる金融所得増税案は、直接は海外投資家に関係はないはずだ。しかし、人口が減る日本国では構造改革によって効率を高めるしか成長の方法はない。岸田政権はその流れを止めてしまうと市場が警鐘を鳴らしているのだろう。岸田新総裁が選ばれた先月29日以降株価は急降下して、一度も上がっていない。どうも、金融所得の課税強化を株式投資家は敬遠していることは確かだ。貯蓄から投資へとしたアベノミクス否定は、岸田政権の命取りになりかねない。
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