風にそよぐ葦
FRBパウエル議長は、大幅利上げにより米経済が景気後退に陥る可能性があること認めた。そして、上院銀行委員会の公聴会では「物価安定を取り戻すことができず、経済に高インフレを根付かせてしまうことだ。」と明言した。要するに、これまでの金融緩和政策でインフレを起こしてしまった。今後、インフレ阻止のために継続的な利上げが必要なことを示唆した。今月のFOMCで政策金利を0.75ポイント引き上げたが、上げ幅は1994年以降で最大だった。金利先物市場の動向によれば、米金融当局は今後も利上げを継続し、政策金利は来年半ばまでに約3.6%まで上げるという。その結果、景気後退が今後2年間のどこかの時点で起きるという見方が強まっている。パウエル議長は「米経済は非常に力強く、金融政策の引き締めに応じる態勢が整っている」と語ったが、根拠などないだろう。また、質疑応答で「金融当局として力強い労働市場を維持しつつインフレを鈍化させることが一段と困難になっている」というから、先々のことは分からない。愚生のような極東の小さな島で、臨終前の終活中の輩になにか関係があるのだろうか。米国がインフレになれば、日米金利差は更に開き、円安が進むだろう。輸入品の多い日本では、当然輸入物資の価格は上昇する。ただ、年金の支給金額は変わらないだろうから、年寄りの可処分所得は減ってしまう。また、日本の政策金利も今のまま留まらないだろうから、貸出し変動金利は上昇する。金融緩和で銀行から低金利融資で不動産購入やアパート建設に充てていた人達は大丈夫なのだろうか。風が吹けば桶屋が儲かるというふうに、悪いことの連想ゲームが始まる。人生を断たんでしまった老人たちは、どうすることもできない。石川達三の「風にそよぐ葦」という小説があるが、時代に流されるしかないのだろうか。
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