仮想空間のアバターに託す世
大相撲名古屋場所千秋楽(ドルフィンズアリーナ)西前頭2枚目の逸ノ城が宇良を寄り切り、12勝3敗で初優勝をした。3敗で並んでいた横綱照ノ富士が大関貴景勝に押し出されたことで優勝が決まった。入門から9年目での初の賜杯だという。横綱の照ノ富士とは平成22年3月に母国モンゴルから同じ飛行機で来日した。両者とも鳥取城北高へ相撲留学組だ。思えば、新入幕の平成26年秋場所でいきなり1横綱2大関を撃破し、13勝を挙げる快挙だった。愚生は、逸ノ城はすぐに横綱になると思っていた。しかし、優勝まではずいぶんと時間がかかった。平成31年春場所には14勝を挙げながらも準優勝という不運もあった。部屋のおかみで、医師でもある三浦真さんは出世が早かったが怪我が多い逸ノ城を励まし続けたことが結果につながったという。昨年9月に日本国籍を取得し、日本名は「三浦駿(たかし)」。姓は師匠の本名をもらい受け駿は「しこ名」の下の名前とした。日本に永住して相撲界に残るつもりなのだろう。愚生も贔屓の栃の心が負け越して残念だが、逸ノ城の優勝は心から祝いたい。ところで、新型コロナウイルスの感染拡大でスポーツ界が大きく揺れている。大相撲は休場続出、プロ野球も試合の中止が急増中だ。現在の新型コロナ第7波対策は、政府による観客動員の制限はない。主催者たちは興行の日程消化と収益確保を優先させている。陽性者の多くが無症状という中で、選手のPCR検査を取りやめる動きもある。千秋楽を終えた大相撲名古屋場所では、力士らの途中休場が170人以上、関取70人のうち23人が休場する異常事態だ。13日目は幕内18番のうち7番が不戦。日本相撲協会の八角理事長も、千秋楽になって部屋弟子の感染が判明した。大混乱の中、平幕逸ノ城の初優勝を表彰する土俵に姿を見せなかった。プロ野球でも、19~20日に巨人の菅野智之、岡本和真、丸佳浩、中田翔ら主力を含む30選手以上が陽性になった。原辰徳監督を含め、5日間で陽性となったチーム関係者は計76人を数えた。その対策なのだろうか、バスケットボール男子のBリーグは新シーズンから選手やスタッフへの一律のPCR検査を実施しない方針で、従来の感染対策を見直す。感染が再拡大しても、いまのところ政府がスポーツイベントへの規制を再び強めようとする気配はないからだ。主催者側が観客動員を自主的に制限するケースもほとんど見当たらない。もう2年以上も続くコロナ禍で、興行主や旅行業者、旅館、ホテルなどは青息吐息だ。既に多くの飲食店も廃業に追い込まれている。第7波の次は第8波、第9波と永遠に続くのだろうか。もう人類はコロナと共存するしかないなら、今後は今のテレワークが当たり前となるかもしれない。そして、我々の生活も移動を伴わない仮想空間のアバターに託す世になるのだろうか。
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