SBGのアリババ株の保有割合は14.6%
米国株は、ハイテク主導で上昇した。ドル円相場は、133円台半ばと円安に振れた。S&P500種株価指数は前日比1.7%高の4280.15と週間ベースでは4週連続で続伸した。この株価の反発は、一時的な上昇や、ショートカバー、あるいはヘッジの巻き戻しだとする懐疑的な見方も多い。8月は株が安い時期とのアノマリーなのだが、テクノロジー株が上げを主導した。結局、S&P500種は1月から6月にかけて下げた分の半分を戻した。証券用語に「半値戻しは全値戻し」という格言がある。大きく下げたあとの相場が反転し、戻りに転じたときに、下げた値幅に対して半分まで戻してくれば、今後もとの値段まで戻っていく上昇力を持っていると判断できるという意味だ。また、大きく下げた後に半分まで戻ってくれたので、これ以上欲を出さずにその相場から撤退した方がよいという意味もあるという。株を持つ者としては、前者の説を採りたい。ただ、市場関係者の中に空売りポジションを持つと、何がなんでも下がる方に解説する人もいる。相場上昇の持続可能性を見極める上で、今後数週間が重要になりそうだ。ところで、日本の上場企業の2022年4~6月期の純利益は前年同期比26%減と2四半期連続で減益となった。自動車や電機が原材料高や供給制約で振るわず円安による押し上げ効果で補えなかったようだ。その中で、株安で巨額赤字を計上したソフトバンクグループ(SBG)が全体を押し下げた。ソフトバンクグループ(SBG)の2022年4~6月期の連結決算(国際会計基準)は最終損益が3兆1627億円の赤字(前年同期は7615億円の黒字)だった。日本企業の4~6月期の赤字額としては過去最大。さらに、SBGは保有するアリババ集団株の一部を放出する。SBGはスマートフォンを販売する会社というより、収益の柱は「ビジョン・ファンド」を通じた企業投資だ。同ファンドは世界の人工知能(AI)関連の新興企業に未上場の段階で投資し、投資先が上場すれば段階的に株を売って資金回収する。4~6月期は米金利上昇をきっかけに世界的にハイテク株が下落したあおりを受けて、上場・未上場かかわらず投資先の価値が大きく下がった。2022年4~6月期はビジョン・ファンド事業だけで約2兆9000億円の投資損失を出した。中国のアリババ集団の株式を使った資金調達で、SBGのアリババ株の保有割合は6月末時点の23.7%から14.6%に低下する。アリババ株を手放すことで、これまで顕在化していなかった含み益を捻出する。その結果、2022年7~9月期の税引き前で約4兆6000億円の利益が発生する。4~6月期に3兆円強の赤字と相殺し節税効果もある。孫正義氏は「100㎞先を見ていれば、船に酔わない」と言うが簡単なことではない。
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