初めて為替を知った頃
最近になって円安が進む。愚生が学生時代にヨーロッパ旅行した頃は、銀行でドルを買うと1ドル300円位だった気がする。うる覚えだが、当時の海外旅行時の外貨持ち出し金額の上限は50万円位だったと思う。そういう時代を知っている愚生にとっては、1ドル=144円は円安と言っても驚きはしない。愚生が初めて為替を知った頃は、固定相場制で戦後に決められた1ドル=360円だった。今では海外旅行は一般的だが、当時は富裕層しか行かなかった。愚生のような貧乏学生は、空いた空席の割安チケットを買って、宿泊は極力ユースホテルを使った。そして、割安な欧州の鉄道周遊券を使用して各国を回った。夜はできるだけ車中泊にしてホテル代を浮かすため、いやでも夜行列車での遠距離移動を強いられた。愚生にとって海外旅行は初めてだったため、全てが印象的だった。スペイン風の白壁に当たる朝の日差しが美しかったことを思い出す。今から思うと良い思い出ばかりだが、一人旅という事もあって旅行中は緊張感で一杯だった。ローマは泥棒の巣窟だとの先入観でテルミナ駅ではナップザックを足で抑えていたが、愚生も他人からはそう見られていたかもしれない。MLBに行った日本人選手同士が、他チームであっても長話をするのは日本語が懐かしいからだろうか。何時も英語やスペイン語しか聞かないと、無性に日本語を話したくなるのだろう。半世紀近く前になるが、愚生も欧州旅行中に、当地の留学生とみられる人から良く話しかけられた。1ドル=300円時代の日本は貧しかった。旅行中はお金がないので道端や駅構内で売っているホットドックばかり食べていた。一月以上もそうゆう生活を続けると、日本に帰った頃にはすっかりやせてしまった。今、アルハンブラ宮殿の思い出というギター曲を聞くと、当時の青臭い思い出がよみがえる。
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