« 果報は寝て待て | トップページ | 株屋の講釈にはついていけない »

2022年10月13日 (木)

「イプシロン」6号機の打ち上げに失敗

1_20221013092001
昨日JAXAは小型ロケット「イプシロン」6号機の打ち上げに失敗した。2013年の初号機打ち上げ以来、イプシロンの打ち上げに失敗するのは初めてだ。企業や大学などの実験用の人工衛星や、イプシロンで初の商業衛星であるQPS研究所の衛星2基を搭載して打ち上げられた。JAXA主体のロケットの打ち上げ失敗は、2003年の国産大型ロケット「H2A」6号機以来となる。その後は50回以上続けて成功していた。小型衛星などの打ち上げ需要が世界で高まる中での失敗は、受注獲得に影を落とす。一方、ロシア製ロケットの代替で存在感を増すスペースXのロケット「ファルコン9」だ。ウクライナ戦争もあって、宇宙開発で脱ロシアの動きが広がっている。英衛星通信会社はロシアのロケットで予定していた小型衛星の打ち上げを、イーロン・マスク氏率いるスペースXなどに切り替えた。ワンウェブは、648基の小型衛星を宇宙に展開し、巨大な通信ネットワークの構築を展開する。これまでに428基をソユーズで打ち上げたが、ウクライナ侵攻を受け、残る打ち上げをスペースXと結んだ。ファルコン9の特徴はロケットを使い捨てるのではなく、機体の一部を回収し再使用する。迅速な打ち上げ対応が可能なほか、コストも大幅に引き下げた。現在の打ち上げ費用は1回60億円前後とされる。日本の国産ロケット「H2A」の約100億円と比べてかなり安い。日本企業のスタートアップ、シンスペクティブも、2022年内にソユーズでの衛星打ち上げを予定していたが、打ち上げ依頼を取りやめた。更に、欧州宇宙機関(ESA)は2022年秋にロシアのロケット「プロトン」で打ち上げを予定していた欧ロ共同の火星探査計画の中止を決めた。これまでソユーズで打ち上げを予定していた他のプロジェクトも次々にファルコン9が代替先となる可能性が多い。ロシアはロケットの打ち上げで一定の存在感を保ってきたが。今回のウクライナ戦争で全ての実績を失った。今回の一連の動きに、日本の衛星打ち上げや宇宙開発の脱ロシアの需要を取り込めていないのは残念だ。次期基幹ロケット「H3」はこのコストを約半分にする目標だが、開発が難航している。そして、昨日の小型ロケット「イプシロン」の打ち上げ失敗だ。しっかりして頂きたいとしか言いようはない。それにしても、プーチンの失ったものはあまりにも大きい。ロシアは20世紀に戻ったも同然だ。

|

« 果報は寝て待て | トップページ | 株屋の講釈にはついていけない »

経済・政治・国際」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« 果報は寝て待て | トップページ | 株屋の講釈にはついていけない »