世界のインフレ退治はそうたやすくできない。
「弱い日本の強い円」などの著者である佐々木融氏のコラムがあった。米国では銀行破綻、欧州ではクレディスイスの買収などが続き、欧米の金融セクターに対して先行き不透明感が強まっている。こうした中、為替市場では円が買われ、主要通貨の中で円が最強通貨となっているという。しかし、投資家のリスク回避志向が強まった結果、円が安全通貨のような動きを取り戻しているようにも見えるが、そうではないという。その顕著な例は、ドルが最も弱い通貨となっている。通常、投資家はリスクオフ時には、円とドルの双方が買い戻される。これは円とドルが「安全通貨」として選好されているのではなく、両通貨が資本調達通貨として元々売られているので、ポジション解消過程で買い戻される。そして買い戻される差がドル/円の為替の動きとなる。例えば、米国のリーマンブラザーズが破綻した2008年9月から3カ月間強で、ドル/円相場は108円台から90円割れまで20%弱急落した。今回、ドルは最弱で、かつ主要10通貨の強弱は各国の2年国債金利の変動幅の差で説明できる。先行きの不安感が増す中で投資家がポジションを手仕舞う場合、金利差の動きを見ながら動かない。実際、リーマンブラザーズ破綻時のドル/円相場の急落時は、日米金利差から大きくかい離して下落した。しかし、過去2週間のドル/円相場は、日米10年国債金利差との1月半ば以降の強い相関関係に沿って動いている。金利差が10bpp動くとドル/円相場が1.4円動く関係が続いている。今回の場合は、短期的な円ショート・ポジションがさほど積み上がっていない。先行き不安からポジションを閉じるとしても、買い戻さなければならない円はそれほど多くないからだ。今のところ、ドル/円相場は、欧米金融不安によるリスクに対するセンチメントというよりは、米10年国債金利の方が重要に見える。そのため米長期金利が全体的に水準を再び切り上げても、ドル/円を押し上げる可能性は低いという。難しいことはよくわからないが、米国金融当局の利上げがあっても大きく円安にはならないという。円キャリートレードで、円を借りていなければポジション解消で円を買い戻すことはない。そう考えれば、金利差以上にドル/円相場が大きく動くことはない。ただ、このところ金利が上がっているのに金地金が買われているという事は、ドル紙幣への信頼が薄らいでいるのだろうか。米国はお金が不足になると、金本位制ではないため紙に印刷して増産した。その付けがそろそろ回ってきたのだろうか。そう考えれば、愚生のつたない知識でも世界のインフレ退治はそうたやすくないことが分かる。
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