さらなる政策は、あるのだろうか
昨日は、Martin Luther King, Jr. Dayで米国市場は休みだった。しかし、世界の株式指標は弱含みで失速した。年初来の相場上昇は、インフレや経済成長、企業収益の見通しからみての判断だったという。そのせいだろうか、S&P500種株価指数とナスダック100指数の先物はそれぞれ、0.2%以上下落した。米国のインフレはピークに達したように見えるが、FRBや他の中銀による積極的な引き締め政策で世界経済の景気後退が危ぐされる。世界銀行は先週、世界成長率予測を下方修正し、過去50年間で最も急激な景気後退だと警告を発した。アナリストは、低調な決算発表になれば、ソフトランディングは難しいとみている。ところで、17、18日は日銀の金融政策決定会合だ。昨年12月に続く金融緩和策のさらなる修正に踏み切るかどうかが焦点だ。新たに公表される経済・物価情勢の展望では消費者物価見通しの上方修正(物価高)が見込まれている。黒田東彦日銀総裁の記者会見の内容次第では市場環境が大きくサプライズするかもしれない。この黒田という人は、相手を驚かすのが好きな様だ。2016年の年末にマイナス金利を導入して以来、今も続けている。金を預けると、利息を払うなど愚生には考えもつかない。長期国債の金利は日銀が上限に設定した0.5%を上回る取引が連日発生している。日銀は国債買い入れなどのオペレーションを駆使して金利抑制を図っているが、いつまで含み損が拡大する長期国債の購入を続けられるのだろうか。ブルームバーグが6-11日に実施したエコノミスト調査では、ほぼ全員が今回会合での現状維持を予想したという。一方、次の政策対応は全員が「金融引き締め」と回答している。次に打つ手としては、「長期金利の許容変動幅の再拡大」や「YCCの廃止」などあるが、どれも金利上昇で住宅ローンなどが跳ね上がる。前回の政策修正でYCCのゆがみが拡大している。そのため、市場機能の悪化を踏まえてさらなる政策修正に動くとの見方もある。新たな展望リポートでは、原材料高などを価格に転嫁する動きが広がっている。そして、2024年にかけては、消費者物価の上方修正が見込まれている。加速する物価上昇に今回会合でどのような政策判断を下すのだろうか。退任が近い黒田総裁は、どうマーケットと向き会うのだろうか。指し値オペや臨時の国債買い入れ以外に対抗策があるのだろうか。
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