経済・政治・国際

2023年1月17日 (火)

さらなる政策は、あるのだろうか

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昨日は、Martin Luther King, Jr. Dayで米国市場は休みだった。しかし、世界の株式指標は弱含みで失速した。年初来の相場上昇は、インフレや経済成長、企業収益の見通しからみての判断だったという。そのせいだろうか、S&P500種株価指数とナスダック100指数の先物はそれぞれ、0.2%以上下落した。米国のインフレはピークに達したように見えるが、FRBや他の中銀による積極的な引き締め政策で世界経済の景気後退が危ぐされる。世界銀行は先週、世界成長率予測を下方修正し、過去50年間で最も急激な景気後退だと警告を発した。アナリストは、低調な決算発表になれば、ソフトランディングは難しいとみている。ところで、17、18日は日銀の金融政策決定会合だ。昨年12月に続く金融緩和策のさらなる修正に踏み切るかどうかが焦点だ。新たに公表される経済・物価情勢の展望では消費者物価見通しの上方修正(物価高)が見込まれている。黒田東彦日銀総裁の記者会見の内容次第では市場環境が大きくサプライズするかもしれない。この黒田という人は、相手を驚かすのが好きな様だ。2016年の年末にマイナス金利を導入して以来、今も続けている。金を預けると、利息を払うなど愚生には考えもつかない。長期国債の金利は日銀が上限に設定した0.5%を上回る取引が連日発生している。日銀は国債買い入れなどのオペレーションを駆使して金利抑制を図っているが、いつまで含み損が拡大する長期国債の購入を続けられるのだろうか。ブルームバーグが6-11日に実施したエコノミスト調査では、ほぼ全員が今回会合での現状維持を予想したという。一方、次の政策対応は全員が「金融引き締め」と回答している。次に打つ手としては、「長期金利の許容変動幅の再拡大」や「YCCの廃止」などあるが、どれも金利上昇で住宅ローンなどが跳ね上がる。前回の政策修正でYCCのゆがみが拡大している。そのため、市場機能の悪化を踏まえてさらなる政策修正に動くとの見方もある。新たな展望リポートでは、原材料高などを価格に転嫁する動きが広がっている。そして、2024年にかけては、消費者物価の上方修正が見込まれている。加速する物価上昇に今回会合でどのような政策判断を下すのだろうか。退任が近い黒田総裁は、どうマーケットと向き会うのだろうか。指し値オペや臨時の国債買い入れ以外に対抗策があるのだろうか。

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2022年11月16日 (水)

ロシアのミサイルがポーランドに着弾

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ロシアのミサイルがウクライナに隣接するNATO加盟国(北大西洋条約)のポーランドに着弾した。その結果、この攻撃で2人が死亡したという。ロシアがウクライナに侵攻後、ロシアの兵器がNATO加盟国に着弾するのは初めてだ。このため、バイデン大統領はポーランドのドゥダ大統領と緊急電話会談をした。北大西洋条約は加盟国の攻撃を全加盟国への攻撃と見なし、武力行使を含む必要な行動を直ちに取ると規定している。今回実際に起きた場合、攻撃を受けた加盟国の防衛支援がなされるのだろうか。ロシアが間違ってミサイル攻撃したとは思えないから、NATO加盟国の足元を見ているだろう。これで何も発動されないなら、NATOは張子の虎条約になってしまう。愚生は、日米安全保障条約も実際に米国が日本を守る保証はないと思う。米国が日本の軍備を削ぐ目的に作られた安保条約だからだ。現実に米国が日本の安全など心配するとは思えない。ウクライナ戦争はバイデンがNATOは参戦しないと言ったことが、プーチンのウクライナ侵略を招いた。頭の弱い政治家がトップを勤めたおかげで、ウクライナでは大勢の人が死んだ。そして、米国の複合軍産企業を儲けさせるために、バイデンは戦争をすぐに終わらせようとはしない。米国は、航空機などの最新武器をウクライナに早期に供与しない理由だ。その裏には、米国の世界戦略の思惑が透けて見える。中国の台湾武力侵攻に米国が盛んに言及するのは、TSMCなどの台湾半導体産業の保全だ。そう考えると、これから不要になってくる石油などを産出するサウジアラビアなどの中東諸国に関心を払わなくなったのも理解できる。いずれにせよ、プーチンが擦ったマッチの火が飛び火してロシア連邦の崩壊に向かっている。火遊びで焼死しそうなプーチンを見ていると溜飲が下がる思いだ。

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2022年10月13日 (木)

「イプシロン」6号機の打ち上げに失敗

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昨日JAXAは小型ロケット「イプシロン」6号機の打ち上げに失敗した。2013年の初号機打ち上げ以来、イプシロンの打ち上げに失敗するのは初めてだ。企業や大学などの実験用の人工衛星や、イプシロンで初の商業衛星であるQPS研究所の衛星2基を搭載して打ち上げられた。JAXA主体のロケットの打ち上げ失敗は、2003年の国産大型ロケット「H2A」6号機以来となる。その後は50回以上続けて成功していた。小型衛星などの打ち上げ需要が世界で高まる中での失敗は、受注獲得に影を落とす。一方、ロシア製ロケットの代替で存在感を増すスペースXのロケット「ファルコン9」だ。ウクライナ戦争もあって、宇宙開発で脱ロシアの動きが広がっている。英衛星通信会社はロシアのロケットで予定していた小型衛星の打ち上げを、イーロン・マスク氏率いるスペースXなどに切り替えた。ワンウェブは、648基の小型衛星を宇宙に展開し、巨大な通信ネットワークの構築を展開する。これまでに428基をソユーズで打ち上げたが、ウクライナ侵攻を受け、残る打ち上げをスペースXと結んだ。ファルコン9の特徴はロケットを使い捨てるのではなく、機体の一部を回収し再使用する。迅速な打ち上げ対応が可能なほか、コストも大幅に引き下げた。現在の打ち上げ費用は1回60億円前後とされる。日本の国産ロケット「H2A」の約100億円と比べてかなり安い。日本企業のスタートアップ、シンスペクティブも、2022年内にソユーズでの衛星打ち上げを予定していたが、打ち上げ依頼を取りやめた。更に、欧州宇宙機関(ESA)は2022年秋にロシアのロケット「プロトン」で打ち上げを予定していた欧ロ共同の火星探査計画の中止を決めた。これまでソユーズで打ち上げを予定していた他のプロジェクトも次々にファルコン9が代替先となる可能性が多い。ロシアはロケットの打ち上げで一定の存在感を保ってきたが。今回のウクライナ戦争で全ての実績を失った。今回の一連の動きに、日本の衛星打ち上げや宇宙開発の脱ロシアの需要を取り込めていないのは残念だ。次期基幹ロケット「H3」はこのコストを約半分にする目標だが、開発が難航している。そして、昨日の小型ロケット「イプシロン」の打ち上げ失敗だ。しっかりして頂きたいとしか言いようはない。それにしても、プーチンの失ったものはあまりにも大きい。ロシアは20世紀に戻ったも同然だ。

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2022年8月15日 (月)

内閣改造しても支持率は上がらず

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読売新聞は岸田内閣に対する支持率を51%と伝えた。内閣改造直前の支持率調査より6ポイント下落した。これは昨年10月岸田政権発足以降の最低値だ。日本経済新聞とテレビ東京が実施した緊急世論調査でも支持率は上昇していない。特に注目されるのは「支持しない」という回答が35%と上昇したことだ。いずれにせよ、内閣改造しても支持率は上がらず下がってしまった。愚生は媚中派で中国人女性とハニトラ関係の林外相が留任というから、これは当然だと思う。また、防衛相が防衛費増額反対のハマコーの息子では思いやられる。高市や萩生田、でなければ佐藤正久などがやるべきだろう。岸田首相は他国に舐められているから、もう少し日本国の閣僚だけでも真剣に選任してもらいたい。ていたらくな野党の中で少しなましだと思っていた日本維新でさえ、降伏論を唱えているから、とても支持はできない。その結果、消去法で国民は自民党を選んだ。今回は、安倍晋三元首相が銃撃を受けた理由は、容疑者が世界平和統一家庭連合(旧統一教会)に恨みを抱いていたことからだ。この似非宗教と自民党との関連性も、支持率を落とした一因だろう。第2次岸田改造内閣が発足したが、民心の離反は止まらなかった。政治家に言いたいのは、もう少し真面な政党や政策を作ってくれないのか。希望の党も、小池百合子の権力欲のために味噌も糞も取り込んだため、自ら失脚して失望に終わった。舌先三寸の河野太郎や小泉進次郎のような出来の悪い人材しかいないのだろうか。そう考えれば、安倍晋三元首相は、彼らよりは少しはマシだった気がする。

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2022年6月12日 (日)

「新FAANG」という新造語

日経新聞に「新FAANG」という新造語が載っていた。愚生が最初に知ったFANGは、Facebook、Amazon、Netflix、Googleを表していた。次にFAANGとは、Appleを足したものだ。規模の小さいNetflix抜いてGAFA。そして、GAFAMとはアメリカの大手IT企業であるGoogle、Apple、Facebook、Amazon、Microsoftの5社を表す用語だ。世界的なシェアや時価総額を誇る巨大IT企業4社であるGAFAにMicrosoftを加えた短縮用語だ。頻繁に変化するので、日々ニュースを見ていないとついていけない。誰かが新造語を作るのだろうが、一般的になると認知されて頻繁に使われるようだ。今回の新FAANGとはバンカメが新たに命名した造語で、燃料(Fuels)、航空・防衛(Aerospace and defense)、農業(Agriculture)、原子力と再生可能エネルギー(Nuclear and renewables)、金・金属・鉱物(Gold, metals, minerals)の5分野を指すという。世界の株式市場でマネーが、巨大テックから流出し、エネルギーや農業関連など、これまで低迷していた分野に向かいだしたという。それにちなんで作った造語だという。ロシアがウクライナに侵攻した直後の2月下旬、新たな世界への投資アイデアとして富裕層の顧客に提案した。その狙い通り、ウクライナ侵攻がエネルギー分野の価格を跳ね上げた。ロシア産ガスからの脱却を急ぐ欧州向け輸出で儲るという予測からだろう。また、岸田首相の防衛費の相当な増額の表明で、三菱重工業の株価が同期間に約7割上昇した。カナダの肥料メーカー、ニュートリエンも2割高だ。5分野の主要上場投資信託を平均すると、ウクライナ侵攻後の上昇率は市場平均を17%も上回る。一方、加入者が減少に転じたネットフリックスは株価が同期間に半値になった。愚生のようにひねくれた者には、ウクライナ侵略で一番儲かるのは、米国の防衛産業やエネルギー分野の企業だろう。そう考えれば、米民主党政権が早期の戦争停戦は望んでいない気がする。また、岸田首相が防衛費を増額といっても、「風が吹けば桶屋が儲かる」という具合に三菱重工が儲かるとは思えない。いろいろ思惑が絡んで、株の上げ下げをもくろんでいる連中が飯のタネに売買するだろう。著名な現役ファンドマネージャーという肩書の某氏は、偉そうに政権批判や中央銀行長官を批判する。しかし、彼が日本にとって生産性のある仕事をしているかというと皆無だろう。通貨や株の売買で儲けたところで、誰かが損をしているからだ。麻雀でお金を仲間内で廻しているようなものだ。そう考えると、彼の尊大な態度は真面目に汗を流す働く労働者諸君には容認できない。愚生も同じ穴の狢と言われれば、小さな小さな狢ではあるが・・。

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2022年4月21日 (木)

狂気の沙汰プーチンは本当に憎らしい

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今日はエンゼルス大谷翔平君の活躍で溜飲が下がる思いだった。「1番・投手」で投打同時のリアル二刀流で出場した。六回1死まで完全投球をし、結局1安打無失点、自己最多タイの12奪三振1四球で今季初勝利を挙げた。試合は「アストロズ0-6エンゼルス」だった。一方、打撃では一回に2点二塁打、六回にはバント安打を放つなど4打数2安打2打点、1四球1得点と申し分のない活躍だ。今回は、ほんとうに圧巻の投球を見せてくれた。愚生が言う話ではないが、世界広といえ、投打で超一流の選手は過去にもいないだろう。大谷君の活躍に胸は熱くなるが、狂気の沙汰プーチンには本当に憎らしく思う。理由はともあれ、21世紀にもなって勝手に他国でドンパチ大砲を撃って侵略してよいはずはない。全く、プーチンは頭が病気だとしか思えない。ウクライナの多くの労働者階級の人たちは、愚生同様に爪に火を点すような生活で、やっと家も持ち終活を迎えた人も多かっただろう。それを狂人のたわごとで、人生の終焉や台無しにされた人は多い。いったい壊した家は、誰が弁済するのだろうか。プーチンと言う狂人とバイデンの腰抜けが起こしたウクライナ戦争は、両人とも責任など取るつもりはない。こういう不適格な人物を選んだ国民にも責任はあるだろうが、他国のことなど「知らぬ存ぜぬ」という政治家は困る。安倍元首相は、森・筧学園や桜を見る会で嘘を何回も言い放っていた。そして、狂気のプーチンと27回も会ったと外交を自慢していた。いまさらながらのお花畑外交で、国税で花を摘んであげただけではないか。それに引き換え、ゼレンスキー大統領の命をかけた八面六臂の働きには頭が下がる。

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2022年4月 6日 (水)

岸田首相もそこに加えられるべき

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連日、ロシア軍がキーウ州ブチャで行った蛮行が報道されている。愚生もマスコミに踊らされていることを差し引いても、プーチンやロシア軍は悪い奴だと思う。支那の習近平や金正恩も同様だろう。ゼレンスキー大統領の非難は、ロシアに宥和的な政策を取り続けたNATO加盟国にも向けられた。2008年のNATO首脳会議でウクライナの新規加盟が見送られたことを挙げ、当時のドイツ・メルケル首相とフランス・サルコジ大統領を名指しして「ブチャを訪問していただき、ロシアに譲歩する政策が、この14年間で何をもたらしたかを見ていただきたい」と、皮肉交じりに訴えた。日本のNHKでは全くこの部分が報道されていないことが不思議だ。ゼレンスキーがロシア軍について「人殺し、拷問者、強姦魔、略奪者」と非難するのは当然だろう。メルケルはいくら日本が肩入れするなと忠告しても経済優先で支那を太らせた。ロシアのも同様であったのだろう。ポーランドの外相は、プーチンと何度も交渉した仏マクロン大統領を非難していたが、サルコジも同様だろう。本来ならそこにお花畑外交で失態を暴露された安倍元首相も追加すべきだろう。日本政府はウクライナから400人の難民を受け入れたと言うが、桁が違うだろうと言いたい。万分の一ではないか。150人乗れる飛行機に20人しか助けずに帰ってきたピンクヨガの外相など早期に更迭すべきだ。岸田優柔不断内閣は、米独仏のようにロシア外交官の追放をしないのか。これでは、マクロン以下ではないか。ロシア政府は嘘もつきとおせば真実になると思っているのだろうか。これでは民主主義国家でない支那や南朝鮮と同程度だ。2008年でクロアチアとアルバニアの新規加盟では合意した。しかし、裏取引でロシアにジョージア、マケドニア、ウクライナをロシアに売ったのではないかと疑われてもしょうがない。ゼレンスキーは、当時加盟が認められなかった背景には「一部の政治家のロシアに対する不条理な恐怖心」だったというが、それが独メルケルと仏サルコジだったようだ。今もサルコジやマクロンは仏大統領選挙に出ているから滑稽としか言いようがない。岸田首相もそこに加えられるべきだろう。

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2022年3月25日 (金)

資産を米ドルで持つことは一考

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ロシアがウクライナを侵攻し始めてから、「ロシアルーブル」は対円相場で18%暴落した。しかし、日本円もドルに対して大幅に暴落している。ドル円は、今現在は122円となっている。2021年から換算すれば、円の価値は15%も円安に振れている。ルーブル並みとは言い難いが暴落していることは事実だ。ドル円相場は3月初めの1ドル114.83円から、現在は一時1ドル122.12ドルと一気に円安が進んだ。かつて円安は日本にプラスとみられたこともあった。しかし、名目GDPに対する輸出額の割合はおよそ2割程度と下がった今は逆だ。ドイツの4割や英国の3割と比べても少ない。円安で助かるのは約2割の輸出産業だけだ。他の8割を占める輸入や内需という観点でみるとマイナスになる。特に、円安は小麦の輸入や、原油のような品目の価格を押し上げる。ただでさえ介護保険などの値上げで、可処分所得が減る中での値上げラッシュは家計に厳しい。年金暮しで、円預金のお年寄りには、踏んだり蹴ったりだ。愚生の勘では125円くらいまで止まる気配がしない。日本の低金利が影響しているから、「有事の円買い」とはいかないようだ。ただ、日本は金融収支が黒字だから、大幅な貿易収支の赤字が続かない限り立派な債権国家だ。ウクライナとロシアは隣どうしだが、日本も反対側のロシアとお隣さんだ。地政学リスクはウクライナと同様と見られているのだろうか。北方領土問題も抱えている点で「遠くの戦争は買い」という相場格言は通用しないようだ。しかし、いろいろ理由はあるが、日米金利差の拡大が一番の理由だろう。米国債券市場では10年物の長期債利回りが2.33%まで上昇した。一方、日本国債の10年物の長期債利回りは0.23%と低い。金と同様に日本円を持っていても金利がつかないに等しい。幅にして2.1%分の金利差があるから、ドルを買って米国債や米国株に投資する人は多いだろう。明日に事は分からないが、ある程度資産を米ドルで持つことは一考に値するきがする。

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2022年3月13日 (日)

支那という巨大なブラックホールの引力圏

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ロシアへの経済制裁は、どのくらい効果があるのだろうか。国際的な制裁が足かせとなり、拡大していたロシア経済は数日で反転した。ロシアの国内総生産(GDP)が約3兆5000億円余り消失したからだ。ブルームバーグ・エコノミクスの暫定予測によれば、2022年のロシアGDPは約9%のマイナスになるという。ウクライナでの戦争で、ロシアが勝とうが負けようが、ロシアへの経済制裁は長期化する。更に、追加制裁が発動された場合は深刻な問題が次々に拡大する。ロシアは既に今世紀最大級のインフレ高騰に見舞われており、物資不足で輸出制限措置を講じている。iPhoneから防衛用電子機器に至るまで、あらゆる技術のハイテク封鎖は過去に例のない規模だ。コンピューターや半導体、センサーなど、各企業からのロシアへの出荷が停止した。米国は輸出規制を武器に、先端産業や高性能兵器に必要な技術からロシアを締め出す。プーチンのウクライナ侵攻の代償は彼が想像した以上に高くつく。米大手企業の多くはさらに踏み込み、ロシアへの技術提供を事実上ボイコットした。こうした取り組みは、技術やデジタルプラットフォームへのアクセスを奪う事でロシア国民を抗議行動に駆り立て、プーチンの軍事行動を弱体化させる。世界中から干されれば、ロシアは完全にテクノロジーから孤立させられる。ロシア国民といっても総人口は1億4500万人だ。日本の総人口が1億2534万人だから、領土は広いが人が多く住んでいるわけではない。ウクライナが4400万人だから、東欧辺りの地域の人口密度ではロシアより多いくらいだ。ロシアの最大の頼りは、隣接する中国だが近づき過ぎれば飲み込まれる恐れがある。実際にロシアが輸入する半導体の3分の1、コンピューターとスマートフォン輸入では半分以上を中国製が占める。人口比やGDPから言えば、ロシアは中国の手のひらに乗る程度の国になり下がっている。戦争が長引き欧米から遠ざかれば、支那という巨大なブラックホールの引力圏から逃れなくなる。プーチンの仕掛けた馬鹿げた戦争は、ロシアを支那の衛星国にしてしまうのだろうか。

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2022年2月28日 (月)

台湾有事の時に、日本はどうする

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米欧日のロシア制裁の拡大でどんな影響があるのだろうか。ロシアに拠点がある日本企業は300~400社ある。当然、日本から現地従業員らへの送金は必要だ。しかし、金融制裁が科されたことで、現地企業との資金のやり取りが混乱しかねない。ロシア制裁の発動後も日本から邦銀ロシア現法へ送金はできるという。現地従業員は制裁対象銀行にはドルは送れなくなるが、仕組み上はルーブルなら送金できる。このため顧客企業に対しては、制裁対象外の欧州系銀行などを従業員らへの送金口座にしてもらう。コマツはロシアを中心とする独立国家共同体(CIS)での建機の売上高が世界販売の1割近くを占める。日本などからも建機を輸出しているが、ロシアがSWIFTから排除されると外貨を受け取れなくなる。どうも、今回の処置で三井物産や三菱自動車など広範囲に影響がでそうだ。また、英石油大手BPなどは、19.75%保有するロシア石油大手ロスネフチの株式を売却する。そして、同社と手掛けてきたロシア国内での合弁事業も全て解消する。要するにロシアから事実上撤退する。ロシアで事業を営む他の企業も同様の動きをすべきだ。前近代的なロシアとは、もう付き合いきれない。BPの決断は同国で事業を営む他の外資企業の判断にも影響しそうだ。また、EUはウクライナへの軍事侵攻を続けるロシアへの追加制裁として、EU領空にロシアの航空機が乗り入れるのを禁止する。他か、ウクライナに武器などを購入するための資金も供与する。加えて、ロシアに協力するベラルーシのルカシェンコ政権への追加制裁にも踏み切る。台湾有事の時に、日本はどうするのだろうか。他山の石とほっといてよいのだろうか。

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