不動産のことを負動産と呼ぶ
愚生は、よく「負動産」という言葉を使う。不動産のことを負動産と呼ぶのは、やはり土地バブル以降のデフレーションを経験してからだろうか。「負」は負債の意味だ。換金性が悪い不動産は、売りたい時に売れず。そして、現金化が容易でないため負債と同じだ。要するに、値段をつけても売り主側の希望価格で終わることが多い。マンションの場合は、負動産は売れないだけではなく、持ち続ければ管理費、修繕積立金、固定資産税などの金銭的な負担も所有者にのしかかる。問題があるマンションとは、売れないだけでなく、貸せない賃貸物件だ。立地や設備、規約、築年数、価格など、いろいろな要因が貸せない、売れない「負動産」マンションとなる。愚生がマンションを査定する時には、やはり管理を見る。まずは「清掃が行き届いているか」例えば、エントランスの照明にクモの糸が絡まっている。蛍光灯がチカチカする。あるいは、床に砂ぼこりがたまっている。そして、汚れが目立ち掃除が行き届いていない。これは築年数による建物や諸設備の劣化ではなく、日常清掃や定期清掃、巡回点検などの日常管理ができていないことになる。次に「エレベーターがあるか」だ。マンションには、必ずエレベーターが必要だ。エレベーターがないと飲料水など重いものを運ぶ際に不便。また、高齢などで足腰が弱いと、外出すらおっくうになる。そして、家電の搬入や引っ越し時には、料金が割り増しになる。特に、昭和四十年代までに建築された団地型のマンションの場合、5階建てマンションでエレベーターがない物件が多い。次に、防犯面、共用施設の有無で「オートロックや防犯カメラの設置、対話型TVフォン」が必須だ。マンション住まいのメリットは防犯面だ。最新のマンションでは、エントランスにインターフォンとオートロック、エレベーターやエレベーターホールなどは非接触キーで解錠しないと入れない。夜間は警備員と機械警備を併用して24時間の有人管理もある。今や標準的なマンションでも、オートロックや防犯カメラの設置が普通だ。不審者の侵入防止と抑止効果のため映像は一定期間ハードディスクに記録する。逆に言えば、防犯面へのバロメーターともいえるオートロック施錠や防犯カメラが設置されていないマンションは、資産価値の観点から大きなマイナスだ。そういう観点からマンションを見れば、すでに使命が終わった物件も多い。昭和40年代初期に建設された多くの団地型のマンションは、千葉の京葉線沿いの埋め立て地に、壮観なという形容詞がぴったりの規模で建設された。また、東京の丘陵を削って造成した多摩ニュータウンや神奈川の港北ニュータウンなどでも多く見られる。いずれもゴーストタウン化へと突き進む。近い将来、少子高齢化で若年層が減り、大量の廃墟予備軍が出現するだろう。そう考えれば、必要のない負動産は、持つべきではない。ましてや、賃貸アパート建設などは、都内であっても、以ての外だ。地方都市であれば、正に破産予備軍だ。
最近のコメント